革の柔らかい風合い、目を惹くデザイン、美しい形状。
革靴には魅力が溢れています。
しかし、これらの魅力は、ただ履き続けるだけだと失われていきます。
ホコリや傷だらけで、靴の中にはカビが生え、革質もどんどんとクタクタになり……
そうなると、もうなんの魅力も感じません。
一方で、手入れをしていれば魅力はどんどんと増していきます。
使い込んだアンティーク家具のように色艶があり、足もとに存在感が出てきます。
しかも、長年履いても決して古びた印象はなく、凛とした佇まいです。
このように、革靴は手入れをすることで魅力が引き立ちます。
「手入れなんてめんどくさい。」と思う方がいるかもしれません。
「どうやって手入れしたらいいの?」「どんな道具を使えばいいの?」と、疑問を持った方も多いと思います。
そこで、このページでは、ゼロからできるだけわかりやすく靴の手入れに関する知識をご紹介します。
普段靴を作っているからこそ分かるような情報もたくさん載せています。
このページを読んで、革靴を手入れする楽しさがすこしでも伝われば嬉しいです。
STEP 1. 長く付き合える一足を見つける
靴の手入れを楽しむには、靴選びから。まずは長く付き合える一足を見つけることが大切です。
革靴の魅力は一朝一夕で引き出せるものではありません。
手入れをしながら長く付き合うことで色艶が増し、魅力が引き立ってきます。
そのためには、質の良い素材を使い、きちんとした製法で作られた、「長く履ける靴」を選ばなくてはいけません。
残念ながら、量販店で安く売られているような革靴には、良い素材が使われていません。
履いているとシワの部分がひび割れてを起こし、すぐに履けなくなってしまいます。
ソールがすり減っても交換ができない構造のものがほとんどなので、ソール交換をしながら長く履くことができません。
一方で、良い靴には丈夫でしなやかな質の良い革が使われており、簡単にひび割れるようなことはありません。
作りもしっかりしているため、たとえソールがすり減っても修理をしながら長く履くことができます。
手入れをすることでそれに応えてくれるような「長く付き合える一足」を選ぶこと。
これが、革靴の手入れを楽しむ最初のステップです。
靴職人がおすすめのメンズ革靴ブランドをフローチャートにしてみた
長く履ける革靴を見極めるのは、それなりの知識や経験が必要になります。
「どれを選んで良いか分からない」という方の助けになるよう、おすすめの革靴ブランドをフローチャートにしてみました。
登場するブランドは、私が実際に見て、触って、履いて「これであれば長く付き合える」と思ったブランドばかりです。
ぜひ、自分の相棒と呼べるようなお気に入りの一足を見つけてみてください。
その他の革靴選びの参考記事
【コスパ最強】靴職人が選ぶ 3 万円台で買えるおすすめの革靴ブランドまとめ
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STEP 2. 靴の手入れ・靴磨きの基本を習得する
革靴の手入れや靴磨きの基本的な流れを知っておきましょう。
ただやみくもにクリームを塗ったりワックスを塗るだけでは、手入れの効果が半減するどころか、逆に革が傷んでしまうこともあります。
まずは、基本的な靴の手入れ・靴磨きの方法を知り、そこから自分なりのやり方を試してみるようにしましょう。
この記事では、「毎日の手入れ」や「月 1 回の手入れ」といった手入れの使い分けや、用意する道具、手入れの手順などを説明しています。
靴の手入れのもっとも基本的な流れをできるだけわかりやすく説明しています。
毎日のブラッシングをするだけでも、しないより靴は断然長持ちします。
できるところからでいいので、ぜひ実践してみてください。
その他の知っておきたい基本知識
革靴は何足持つべき?ローテーションで履くべき靴の数と種類を考える
革靴の寿命は何年?長く履ける靴の種類は?コスパの良い靴の種類は?
STEP 3. 手入れ・靴磨きに使う道具について知る
ホコリを落とすブラシ、革を保湿するクリーム、汚れを落とすクリーナーなど、手入れの際に使用する道具はさまざまです。
ブラシ、クリーム、クリーナー、どれをとっても種類が多く「どれを買えばいいか分からない!」と迷ってしまうことがよくあります。
そこで、革靴の手入れに使用する道具の種類ごとで、おすすめの道具を紹介しています。
おすすめしている道具は、実際に手にとって使ってみて良いと思ったものや、さまざまなメーカーのものを集めて比較・検証したものです。
道具選びに失敗したくない方、どんな道具を買えば良いか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ブラシ
クリーム
クリーナー
ワックス
シューキーパー
磨き布
シューケアセット
STEP 4. 靴の素材や色に合わせた手入れをする
靴の素材や種類、色によって、手入れの方法にちょっとしたコツがあります。
基本的な手入れの流れはどんな革靴でも同じですが、素材や種類、色別で手入れのコツ知っておけば、見落としてしまいがちな汚れに気づいたり、スペシャルな手入れができたりします。
革靴の手入れに慣れてきた方でも、一度目を通してみると新しい発見があると思います。
革の種類に合わせた手入れ
革靴に使用される革には、いくつか種類がありそれぞれが異なる魅力を持っています。
それぞれの良さを最大限に引き出す、革の種類に合わせた手入れのコツを知っておきましょう。
たとえば、表面がツヤツヤした革「スムースレザー」は、革の質感を楽しめる定番の革の種類です。
主に牛の革で、クリームを塗って保湿してあげることで、もちもちとした質感になります。
一方、表面がモジャモジャした革「スエードレザー」は、温かみのある表情が魅力の革の種類です。
スムースレザーのようにクリームを使わず、特殊なブラシで毛並みを整えてあげることが大切です。
このように、素材別で手入れの方法を変えることで、革の良さを引き出すことができます。
牛革
スエード
靴の種類に合わせた手入れ
靴の種類別の手入れのコツを知っておきましょう。
靴の種類というのは、ブーツやローファー、スニーカーなど、靴のデザインの種類のことを指しています。
たとえば、ブーツは靴の中が蒸れがちなので、消臭スプレーを手入れのときに吹いておけば、臭いを気にせずに済みます。
また、ローファーは履き口が特殊な形状をしているので、それにあった形状のシューキーパーを用意した方が手入れがしやすくなります。
このように、種類別で手入れのコツを知っておくと、より効果的に手入れをすることができます。
ブーツ
スニーカー
ローファー
靴の色に合わせた手入れ
革靴の色に合わせて手入れができると、その靴の魅力がグッと引き立ちます。
たとえば、茶色い革靴は色の濃淡を出してアンティークな雰囲気を出す「アンティーク仕上げ」をすると、雰囲気がガラリと変わり、変化を楽しむことができます。
たとえば、黒い革靴であれば、基本的な手入れと合わせて「鏡面磨き」をすると、清潔感がグッと上がります。
このように、色に合わせた手入れのコツを頭の片隅にでも入れておくと、いつもと違った楽しみ方ができます。
茶色
白
黒
STEP 5. 靴や足に起きるトラブルを解決する
靴を履いていると、トラブルが起きることがあります。
気持ちよく革靴を履き続けるために、靴と足に関するトラブルの解説策をまとめています。
トラブルには、大きく分けて 2 つのタイプがあります。
- 靴に起きるトラブル
- 足に起きるトラブル
「靴に起きるトラブル」とは、傷やひび割れなど靴自体に起きる問題で、靴に対処する必要があります。
「足に起きるトラブル」とは、靴擦れや痛みなど靴を履くことで足に起きる問題で、靴に対処したり足に対処したり、ケースバイケースです。
それぞれのトラブルに合わせて正しく対処して、革靴を気持ちよく履き続けましょう。
靴に起きるトラブル編
傷がついたり、カビが生えたり、ひび割れたり……
長く履いていると、革靴にはさまざまな問題が起きます。
「もう捨てるしかないかな」と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
ほとんどの場合は、自宅で簡単に対処することができます。
たとえ傷だらけになっていても、自分で補修しながら大切に履いた革靴は、愛着がより一層増すはずです。
傷
シワ
カビ
臭い
ひび割れ
色落ち
汚れ
足に起きるトラブル編
靴擦れしたり、圧迫感があったり、蒸れたり、足にトラブルが起きることがあります。
これらのトラブルが起きると、履くだけでストレスになってしまい、革靴を楽しむ余裕もありません。
せっかく買った革靴、ストレスなく気持ちよく履けるように足や靴に対処しましょう。
靴擦れしたとき
痛いとき
トラブルが起きる前に
STEP 6. より長く楽しむために
革靴の基本的な手入れ以外にも、特別な手入れの方法があります。
革靴の内側やソールを手入れする方法、まるまる水で洗う方法もあります。
これらの手入れを臨機応変に使いこなして綺麗な状態を保ち、革靴をより長く楽しむことができます。
手入れに慣れてきた方は、ぜひトライしてみてください!
また、手入れに慣れていない方でも「こんな手入れがあるんだ」と知っておき、時間のあるときにでもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。