革の風合いを失わずに、革靴を水洗いして臭いや塩ふきをスッキリする方法

足は一日でどのくらいの汗をかくかご存知でしょうか?

なんと両足あわせてコップ半分から一杯分の汗をかくと言われています!

大量の汗を吸収した靴には、どうしても臭いがついてしまいます。さらに困ったことに、臭いのついた靴を履いていると、足まで臭くなってしまいます。

普段の生活なかで、例えばお座敷での飲み会やホームパーティなど、靴を脱ぐ機会は少なからずありますが、そんなときに臭いを気にしながら過ごすのは嫌ですね。

一度臭いのついてしまった靴はどうすればいいのでしょうか。

てっとり早いのは、水洗いしてしまうことです。

「革って水に弱いんじゃないの?洗っちゃって大丈夫なの?」と思われるかもしれません。たしかに、考えなしに水洗いしてしまうと、型崩れをおこしてしまったり、革がひび割れてしまったりすることがあります。

しかし、水洗いの前にしっかり保湿をして、洗った後に正しい乾かし方をすれば、問題ありません。

この記事では、靴をきれいにして臭いを消すのはもちろんのこと、革の質感を保ちながら、型崩れを起こさないように水洗いする方法をご紹介します。

どんなときに水洗いするべきか

水洗いは、革にダメージが全くないわけではありませんので、やらないに越したことはありません。

ただし、次の場合は水洗いがとても効果的です。

1. 臭いが気になるとき

水洗いをすることで、臭いの原因である雑菌を洗い流すことができるので、消臭効果があります。また、石鹸を使うことで、革の奥に染み込んでしまった汚れも洗い流すことができます。

2. 白いシミ(塩ふき)がひどいとき

「塩ふき」とは、汗に含まれる塩分が結晶となって革の表面にあらわれるシミです。水洗いによって、塩を溶かして洗い流すことができます。

臭いが気になって仕方ないとき、あるいは白いシミができてなかなか落ちないときは水洗いで解決しましょう。

水洗いに必要なもの

水洗いには以下の 10 つの道具を使用します。

馬毛ブラシ

水洗いの前に靴についたホコリやチリを払い落すのに使用します。

ホコリ落としには、豚毛と比べて毛先が柔らかい、馬毛のブラシが最適です。

乳化性クリーム

水洗い前と水洗い後の革の保湿に使用します。

この記事では、浸透力の高いコロニルのシュプリームクリームデラックスを使用します。

乳化性クリームを塗ったり、最後に磨き上げて艶を出したりするのに使用します。

着なくなった T シャツでも代用できます。

バケツ

中にお湯を張り、靴を浸して汚れを浮かします。

両足がすっぽり収まるくらいのサイズのものを用意しましょう。タライでも構いません。

サドルソープ

水洗いのかなめ、モウブレイのサドルソープです。

ボディーソープで代用する方もいるようですが、私はサドルソープをおすすめします。

ボディーソープに含まれる添加物が革に悪影響を及ぼす可能性があります。ボディーソープに比べて価格は高いですが、すぐになくなるものではありませんので、革専用に作られているサドルソープを使用するのが無難です。

スポンジ

スポンジは 100 均に売っている食器洗い用のものを使用します。

歯ブラシ

スポンジでは洗いきれないコバを綺麗にするのに使用します。

自分の歯ブラシを見て「毛がバシバシだ」と思ったら買い換えて、その歯ブラシを使いましょう。最近代えたばかりの方は、100 均に売っているものでかまいませんので、新しく購入しましょう。

タオル

乾いたタオルを用意しましょう。洗い終わった後に靴についた泡や水分を拭き取るのに使用します。

新聞紙

靴を乾かすときに中に新聞紙を入れることで、湿気を吸い取ってくれます。

最近は新聞をとっているご家庭が減っています。「新聞なんてないよ」という方は、食器などを包む用に100 均に置いてあるので、少しだけもらってきましょう。

シューツリー

靴を完全に乾かすときに入れておくことで、型崩れの防止になります。

可能であれば、甲の部分にも支えがあるタイプのシューツリーにしましょう。しっかりと形を保ってくれます。

水洗いの手順

それでは、水洗いの手順をご紹介します。

この記事では、水洗い後の比較のために片足だけ洗っていますが、実際には両足を同時に洗います。

ちなみに、一般的なスムースレザーの靴であれば基本的に水洗いできますが、なかには水洗いしないほうがいいものもあります。

水洗いしても大丈夫か不安であれば、水洗いできない素材を一度ご覧ください。

1. ホコリを落として、乳化性クリームを塗っておく

水洗いをする前に、革の保湿をしておきます。

乾燥しきった状態で水洗いをすると、乾かす段階でさらに乾燥が進んで、カピカピになってしまいます。乾燥しすぎると、革の硬化と収縮が酷くなり、もとの状態を保てない可能性があります。

まずは、靴紐を外し、馬毛ブラシで全体をブラッシングして、ホコリやチリを払い落とします。

次に、布を使って全体に乳化性クリームを塗り込みます。右側、左側、つま先、甲と順番に、乳化性クリームを塗り込んでいくとまんべんなく塗ることができます。

また、鏡面磨きをしている場合は、ワックスを落としてからこの手順に入るようにしてください。

ワックスがついたままだと、乾燥するときに「銀浮き」と呼ばれるシミができてしまうことがあります。

革靴をピカピカに輝かせる鏡面磨き(ハイシャイン)の方法とその落とし方」で鏡面磨きの落とし方を解説しているので参考にしてみてください。

「1. ホコリを落として、乳化性クリームを塗っておく」の動画

2. バケツにお湯を入れて、靴をひたす

バケツの中にぬるま湯を張り、乳化性クリームを塗った靴を浸します。

浸したまま 30 分 〜 1 時間ほど放置します。ぬるま湯に浸すことで、汚れを浮かして落としやすい状態にします。

靴が浮いてしまう場合は、何かおもしを上に乗せて、しっかりと浸かるようにします。

3. サドルソープで洗う

スポンジにサドルソープをとり、クシュクシュと泡立てます。

まずは、靴の表面から綺麗にしていきます。ぬるま湯に浸すことで、革に浸透していた汚れが浮いているので、その汚れを泡で洗い落とします。

ゴシゴシはせず、優しく洗顔をするようなイメージです。スポンジの固い面は絶対に使用しないように。革の表面に傷が入ってしまいます。

表面を綺麗にしたら、次は内側を綺麗にしていきます。内側のインソール(足が触れている部分)は、多少ゴシゴシしても構いません。

最後に、歯ブラシでコバを綺麗にします。サドルソープを歯ブラシの先にちょこっと取り、ゴシゴシします。

これでしみついた臭いや汚れが取れ、一通り綺麗な状態になります。

「3. サドルソープで洗う」の動画

4. タオルで水や泡を拭き取る

ここまでで、まだ靴には泡がついている状態かと思います。泡を水で洗い流すと、サドルソープに含まれる保湿成分まで一緒に洗い流してしまいます。

乾いたタオルを使って泡や水分を拭き取るようにします。

あまりゴシゴシしすぎると、革に傷がついてしまうので、優しく拭きましょう。

コバの部分の泡はなかなか拭き取れませんので、ソールの部分だけバケツに張ったお湯にぴちゃぴちゃして、泡を落とします。

「4. タオルで水や泡を拭き取る」の動画

5. 陰干しする

水洗いで一番重要なパートです。

ここで間違った乾かし方をすると、型崩れがひどくなってしまいます。

新聞紙を中に詰め込み、風通しのいい日陰で、ソールを浮かせるように立てかけて乾かします。

新聞紙は 3 〜 4 時間ごとに、こまめに入れ替えるようにします。

新聞紙をつめたまま放置すると、湿気を吸った新聞紙が逆に靴の中の湿度を高くしてしまいます。(私は新聞紙を入れたまましばらく放置して、内側がカビだらけになったことがあります。)

直射日光下で乾かしたり、ドライヤーで乾かしたりすると、急激に乾燥することでひび割れの原因になるので、絶対にやめましょう。

6. シューツリーを入れて完全に乾くまで陰干しする

1 日干すと半乾きの状態になります。

その後は、型崩れ防止のためにシューツリーを入れて干すようにします。

同じようにソールを立てかけ、さらに 1 ~ 2 日風通しのいい日陰で干します。

アウトソールと靴の内側を触ってみて、湿り気がなくなっていたら完全に乾いています。

7. 乳化性クリームを塗って磨く

完全に乾いたら、乾燥してカピカピになってしまった革に乳化性クリームを塗り込みます。

布でしっかり全体にクリームを塗って、保湿をしましょう。

水洗いした後は、下の写真のようにソールの色が抜けている場合があります。

これは、ソールの染料が水に溶けてしまったためです。

色が抜けてしまった場合は、ソールの色に近いワックスで補色することができます。今回は、モウブレイのダークブラウンのワックスを使用しました。

布にワックスをこのようにとり、少し力を入れてゴシゴシとソールに塗り込んでいきます。

乳化性クリームを塗って、必要に応じてソールに色付きワックスを塗ったら、最後の仕上げに全体を布で磨きます。

「7. 乳化性クリームを塗って磨く」の動画

ビフォー・アフター

こちらがビフォー・アフターです。左足が洗った方、右足が洗っていない方です。

形が崩れていないのがわかります。写真では伝わりませんが、臭いもしっかりと消えています。

革の風合いも、洗っていないものと比べて遜色ありません。

染料が溶けて変色していたソールも、ワックスを使用することで色が整いました。

注意!水洗いできない素材

下記に該当する場合は水洗いしないほうがいいです。

どうしても臭い等が気になるときは、プロのクリーニング屋に相談しましょう。

起毛素材(スエード、ヌバック)

スエード、ヌバックは、丸洗いしてしまうと本来の風合いがなくなってしまう場合があるため、丸洗いしないほうが無難です。

ヌメ革、水性染料を使用した牛革

ヌメ革や水性染料を使用した牛革はシミが目立ちやすいため、丸洗いすると悪化してしまう可能性があります。

クロコダイルなどのエキゾチックレザー

エキゾチックレザーはデリケートなので、ヘタに扱うと独特の風合いがなくなってしまったり、逆に染みが広がってしまったりします。往々にしてエキゾチックレザーの製品は高価なので、プロのクリーニング屋に相談した方が賢明です。

エナメル、コードバン

エナメルやコードバンの持つ艶がなくなってしまう可能性があるので、水洗いは避けたほうがいいです。

水洗いのタイミングと頻度

水洗いでは、靴を水浸しにします。時期にもよりますが、洗ってから完全に乾くまでに 2 〜 3 日はかかります。湿度の高い梅雨や夏に水洗いすると、カビが発生する可能性があるので、できれば春や秋にするのをおすすめします。

また、冒頭でもいいましたが、水洗いは革にダメージが全くないわけではありません。何度も水洗いすると、 濡れる → 乾く → 硬化するを繰り返すことになるので、革がひび割れてしまったり、傷んで風合いが変わってしまったりする可能性があります。

水洗いの頻度は、多くても半年〜一年に一度にとどめておきましょう。

おわりに

水洗いをしてサッパリした革靴を履くのは気分も爽快で、新しい革靴を履き下ろすときのような新鮮な気持ちになります。

靴の臭いが気になる方はぜひ一度試してみてください。

冒頭でもお話ししたとおり、足はどうしても汗をかいてしまうものです。できれば、臭いがつく前に、アルコール除菌シートで定期的に靴の内側をきれいにするようにしましょう。毎日するのは大変なので、「汗をかいたな」と思ったら、その週末にするだけでも効果があります。

この記事で読んで、臭くなった革靴でも嫌いにならず、きれいにしてもう一度履いてもらえると嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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