(第 5 回)革靴好きをこじらせて靴作りをはじめました〜革の裁断とミシンがけ〜

どうも、靴づくり修行中のくすみです。

前回までで、仮縫い靴の吊り込みを終え、木型の修正を行いました。
なので、いよいよ今回から本番の靴を作っていくわけでございます。手先の器用さだけが取り柄のわたくしですが、そろそろ出そうかな。本気。

ここからは工程は仮縫い靴でも経験したものも多くなってくるので、かなりスムーズに、そしてクオリティの高いものが作れるはずです。
というわけで、本番の靴の革の裁断からミシンがけまでの工程をやっていきましょう。

革の裁断

木型の修正は削ったり革を盛ったりと細々した修正をけっこうしましたが、すごく大きな修正ではないので型紙(スタンダードフォーム)の変更はしませんでした。

ただし、仮靴を吊り込んだときの『吊り込みしろ』、つまりアッパーをひっぱる部分がもう少しあってもいいねとカタオカ先生がおっしゃっていたのを思い出し、アッパーを少し余分にカットしました。

これはデザインに影響しない部分なので、なんとなく1cmくらい大きめに印をつけてカットしただけです。

ということで、こんな感じに無駄なく革を使えるように、銀ペンで型取ります。
少し厚めのもっちりとした革です。

左右で同じパーツもあるけど、反転しているパーツもあるので注意しながら、ライニングも同様に。

そして、パーツをひとつひとつカットしていきます。
しかしオルファのカッターほんとによく切れます。作業をするときは刃の先に手がこないように気をつけましょう。
いくら器用とはいえ、ケガには細心の注意を払って。

裁断できました。

くるくるなのは革がロールに巻かれた状態で保存されているからです。これを揉みほぐすと少し柔らかくなってクセも軽減します。革ってほんとに不思議です。

漉き加工

さて、次は革の縁を漉き(すき)機で薄く加工していきます。
アッパーもライニングもパーツの縁を漉くことで、縫い合わせたときに段差が無くスムーズに仕上がります。しかし、漉く厚さも場所によって違うので注意が必要です。

気を抜いているとこんな風に間違えます。

パッと見わかりませんが、漉く厚さを間違えています。
もちろん間違えたら作り直し。

先生すみません。
革は無駄なく使わせていただきます。

また、漉き機は漉く厚さを調整して使うのですが、しっかり調整をしてもこんな風に失敗することもあります。

カーブだったため革が漉き機の刃に深く入ってしまい、キレイに漉くことができませんでした。

もちろんこれもパーツを切り出すところからもう一度。
先生すみません。

ということで漉き加工が終わったパーツがこちら。

右上の少し色の違う革は、土踏まずとその反対側、つまり足の両サイドに入れる補強のための革です。仮縫い靴の時には作りませんでしたが、本番の靴には入れていきます。

ミシンがけ

そしてミシンがけです。
仮縫いのときはミシンには苦しまされました。
足でペダルを踏み、両手で革を持ち、さらに革の流れを目で追いながら縫っていくのはとても難しいです。
また、ダブルステッチで縫っていく部分は糸と糸の幅を均等にしなければなりません。

仮縫いの時よりは多少慣れはあるものの、やっぱりガタガタになってしまうところはありますね。

なので革の端切れや漉き加工で失敗した革も使ったりして、念入りにミシンの練習をさせていただきます。

アッパーがキレイに仕上がらないとそのあとの工程のモチベーションも下がるということで、僕の納得いくまでミシンで練習を許可してくださるカタオカ先生、いつもありがとうございます。

本番の靴も接着剤をつけてアッパーを縫っていくのですが、仮縫いの時とはいくつか違うところがありました。
まずひとつめ、鳩目の部分にナイロンテープと補強のための薄い革を入れました。鳩目の裏に金具をつける方法もあるようですが、たまたま在庫が無かったようで、今回はテープと薄く漉いた革で補強をすることになりました。

そしてふたつめ。
ビーディングというアッパーとライニングの間に革を挟みます。履き口の補強が目的のようですが、紳士靴では頻繁に目にする意匠ですよね。
こんなふうに履き口のラインに合わせて貼っていきます。

カーブが急なところも丁寧に。
このあたりも仕上がりの美しさに関わってくる部分なので慎重に。先生のご意見も伺いながら。

アッパーにビーディングを貼れたら、ライニングを貼ってミシンで縫います。

ライニングの革がはみ出ている部分は後でカットします。仕上がりのことを考えると後でカットする方が、手間がかかりますがキレイに仕上がる気がしますよね。先人たちのお知恵からは学ぶことが多いです。

そもそも平面の革があの靴という立体物になるわけですから。さらに何十キロという重さと屈曲や摩耗に耐え得るものにしなければならないのですから。いろんな創意工夫が込められていることに気づきます。

自分でつくってみるとなおさらその知恵を感じることができます。
すみません、話が逸れました。

いろいろと下準備をしたら、どんどんミシンで縫い合わせていきます。
まだまだガタついているところはありますが、仮縫いの時よりは少しだけキレイにできたかなって感じです。

このタイミングで鳩目に穴を開け、縫う前にビニール紐でしっかりと結んだら、他のパーツと縫い合わせていきます。

そして、この靴のミシンがけの一番の難関がここ。
ロングバンプとその上のパーツを縫い合わせるとき、革がたくさん重なっている部分があるので、なかなかまっすぐミシンが通りません。

スムーズに針が進まなくてもペダルを踏んでいる限り針は動き続けますから、そこで糸が絡まってしまうことがあります。
今回はなかなかうまくいかずカタオカ先生に手伝っていただきながら、なんとか完成させることができました。

糸が絡まるとこんな風にほどかなければいけません。これを3〜4回やりましたが、さすがに先生も見かねてこの部分は縫っていただきました。

先ほどご紹介した補強用の革を土踏まずと反対側に貼り付けます。

最後に、ビスポークならではの意匠『カンドメ(しゃこどめ)』を縫い付けたらアッパーは完成です。

次回はいよいよ本番の靴で吊り込みですね。
二度目ではありますが、靴らしくなってくる非常におもしろい工程です。ご期待ください。

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