スエード靴の手入れ方法とよくあるトラブルの対処法まとめ

スエード靴は、スムースレザーでは味わえない独特のあたたかみがあります。

ただ、表面がザラザラしている分スムースレザーに比べて汚れがつきやすいため、普段のお手入れには気を使う必要があります。

せっかく履くなら綺麗な状態で履きたいですよね!

今回は、スエードを綺麗に見せるためのポイントを押さえつつ、手入れの手順を動画付きで解説します。

さらに、シミや傷などスエードにありがちなトラブルへの対処法についても解説します。

スエードとは?

革製品でよく見るツルツルした面は、動物でいうと毛が生えている外側の面で、吟面(ぎんめん)と呼ばれます。銀面と書かれることもあります。

毛などを取り除いて加工すると以下のようにツルツルの状態になります。

一方、動物でいう内側に位置する面は 床面(とこめん)と呼ばれます。

こちらのザラザラしている床面を使って作られた靴がスエード靴です。

スエード靴の特徴は、なんといってもその「起毛感」です。

表面がモジャっとしており、通常のレザーでは味わえない独特のあたたかみがあります。肌触りもなめらかで柔らかく、足に馴染みやすいという利点があります。

スエードを綺麗に見せるための 3 つのポイント

そもそもスエードはどういう状態が綺麗だと言えるのでしょうか。

実際に手入れをしたり、リサーチしたりするなかで以下の 3 つのポイントがあることがわかりました。

ポイントその 1:ホコリやチリ等の汚れがついていないこと

革の表面にホコリやチリがついていると色がくすんで見えて、ホコリまみれのぬいぐるみ状態のようになります。

表面についたごみをブラシで払い落とし、くすんだ色を元にもどすことで綺麗に見えるようになります。

ポイントその 2:傷や色落ちがないこと

当然といえば当然ですが、革の表面に傷があったり、色落ちしたりしていると汚く見えてしまいます。

特に、つま先には傷がつきやすく、ついてしまうとかなり目立ってしまいます。

ポイントその 3:毛並みが整っていること

起毛したカーペットを指でなぞると、なぞったところだけ色が変わって見えますよね。スエードも同じで、毛並みの方向が整っていないと綺麗に見えません。

ブラシを使って毛並みを一方向に整えることで、色が均一に綺麗に見えるようになります。

スエードの手入れに必要なもの

スエードを綺麗に見せるポイントを踏まえて、手入れに必要な道具を揃えましょう。

ちなみに、スムースレザーに使用するクリームやワックスなどは起毛革には使えません。毛先を寝かせてしまうことになるので、起毛革の独特の風合いが失われてしまいます。

シューキーパー

まず、靴の形を保つためにシューキーパーを使います。

手入れは、力を入れてブラッシングしたり、スプレーを吹きかけたりします。

スエードは比較的柔らかいので、シューキーパーを入れて形を保っておかないと力を入れてブラッシングできませんし、スプレーを均一に吹きかけることもできません。

効果的に手入れをおこなうために、シューキーパーは必ず用意しましょう。

ブラシ類(豚毛ブラシとクレープブラシ)

ブラシは、豚毛ブラシとクレープブラシの 2 種類を使います。

豚毛ブラシは、言葉通り豚毛が使われたブラシで、他のブラシと比べて毛先が硬いのが特徴です。

クレープブラシは、毛ではなくゴムがついた、ブラシと呼ぶのか疑問が残るブラシです。

この 2 種類のブラシを使い分けて、先ほどご紹介した 3 つのポイントを押さえていきます。

  • ホコリやチリ等の汚れがついていないこと
  • 傷や色落ちがないこと
  • 毛並みが整っていること

「ホコリやチリ等の汚れがついていないこと」には、豚毛のブラシを使います。

毛先の硬い豚毛ブラシを使うことで、効率的にホコリやチリ等を払い落とせます。レザーによく使用する馬毛ブラシで汚れを落とそうとしても、毛先が柔らかくてなかなか落とせません。

「傷や色落ちがないこと」は、クレープブラシで寝ている毛先を起こしていくことで解決します。

クレープブラシで寝ている毛先を起こすことで傷や色落ちが消えます。

傷や色落ちがあったとしても、毛先が寝てしまっていてそう見えるだけの場合がほとんどです。

たいていの場合、クレープブラシで寝ている毛先をガサッと起こしてあげることで傷が色落ちは消えます。

また、豚毛ブラシだけでは落としきれないような毛先に絡まった汚れを落とすのもクレープブラシの役割です。

「毛並みが整っていること」には、再度豚毛ブラシを使います。

毛並みを整えるためには、クシのようなものを使うのが一番です。毛先の硬い豚毛のブラシの役割を果たしてくれます。

ワイヤーブラシは使っちゃダメ!

スエードの手入れ用品に、毛先にワイヤーが使用されたワイヤーブラシというものがあります。

このブラシは革を傷つけてしまうので使わない方がいいです。

「ワイヤーブラシでも傷はつかない!」と言われることもありますが、それは優しくブラッシングした場合のことです。

ホコリを落としたり毛並みを立たせたりするには、少し強めにブラッシングする必要があります。優しく撫でるだけでは、スエードを綺麗にするには不十分です。

ワイヤーブラシで強めにブラッシングすると、革を傷つけてしまう可能性があるので、豚毛ブラシとクレープブラシを使うようにしましょう。

専用スプレー

スエード専用のスプレーも使います。

目的は「保湿」と「防水」の 2 つです。

スムースレザーの場合、保湿には乳化性クリーム、防水には防水スプレーを使うのが一般的です。

スエードの場合は、この代わりにスエード専用スプレーを使います。

スエード専用スプレーに含まれる保革成分が革を乾燥から守り、かつ水がしみやすいスエードの防水性を高めてくれます。

「保湿」と「防水」の機能はもちろんのこと、さらに「補色」までできる便利なスプレーがあります。

モゥブレィのスエードカラーフレッシュというスプレーです。

いろんなカラーがありますが、ニュートラルでも発色を良くしてくれるのでおすすめです。

スエードの手入れの手順

必要な道具が揃ったところで、手入れ作業にはいります。

今回お手入れするスエード靴はこちら!

写真では分かりにくいですが、表面に砂のようなホコリがかなりついており、色が全体的にくすんでいます。つま先やかかとに傷もあります。

手入れの手順は、以下の 5 ステップです。

  1. シューキーパーを入れる
  2. 豚毛ブラシでホコリやチリを落とす
  3. クレープブラシでブラッシングする
  4. 豚毛ブラシで毛並みを整える
  5. スプレーを吹きかける

ちなみに、スエードの手入れでは、ホコリやスエードのカスがポロポロ落ちるので、新聞紙など引くか汚れてもいいところで作業することをおすすめします。

それでは、順に進めていきます。

1. 靴紐を外しシューキーパーを入れる

まずは、靴紐を外してシューキーパーを入れて、お手入れがしやすいように形を整えます。

「1. 靴紐を外しシューキーパーを入れる」の動画

2. 豚毛ブラシでホコリやチリを落とす

次に、豚毛のブラシで表面の汚れを払い落とします。

少し力を入れて、強めに全体をガシガシとブラッシングします。

「2. 豚毛ブラシでホコリやチリを落とす」の動画

3. クレープブラシでブラッシングする

クレープブラシを使ってスエードの毛並みを立たせます。

新品だったり、しばらく使っていなかったりすると、ゴムが固まっていることがあります。使用する前にゴムを手でほぐすことで、ブラッシングしやすくなります。

ゴムを手でほぐす

ブラッシングは、毛先をガサガサと起こすようなイメージで、スナップを効かせておこなうのがコツです。

「3. クレープブラシでブラッシングする」の動画

4. 豚毛ブラシで毛並みを整える

次に、豚毛ブラシで毛並みを整えます。

ホコリを落とすのに使用したブラシと同じブラシを使う場合は、手でブラシの毛をはたいて落としておきます。

前から後ろに流すようにブラッシングすると、全体の毛先が揃って綺麗に見えます。

「4. 豚毛ブラシで毛並みを整える」の動画

5. スプレーを吹きかける

最後に、「防水」と「保湿」ついでに「補色」をするためにスプレーを吹きかけます。

スプレーの種類によりますが、今回使用しているモゥブレィのスプレーの使い方はこちらです。

  • 使用する際、スプレーは振らない。
  • 50cm 以上離して、素早く 3 回全体をスプレーする。
  • スプレーしたあと、30 分以上乾かす。

ちなみに、モゥブレィのスプレーの使い方の説明のなかに「乾かしたあと、ブラッシングで毛並みを整える」という記載があります。

私の場合は、30 分待ってから仕上げるのが面倒なので、先に毛並みを整えてからスプレーを吹きかけるようにしています。

面倒でない方は、スプレーを吹きかけて乾かした後に「4. 豚毛ブラシで毛並みを整える」ようにしてもいいかもしれません。

「5. スプレーを吹きかける」の動画

ビフォー & アフター

これで手入れは完了です!

なんだか汚い印象のある靴が…

このようになりました!

すっきりして上品な雰囲気になりました。

スエードの手入れの頻度

以上の手入れは、月に 1 回程度で十分です。

また、履いた後には毎回豚毛ブラシを使って軽くホコリなどを落とすようにすることで、綺麗な状態が長持ちします。

ただ、防水スプレーの効果はだんだんと弱くなっていきます。

雨の日に履くとき、スプレーを吹いてから日にちが経っている場合は、再度スプレーを吹きかけて乾かしてから履くようにしたほうがいいかもしれません。

新品の場合は汚れがついていないので、「4. 豚毛ブラシで毛並みを整える」と「5. スプレーを吹きかける」だけで大丈夫です。

消しゴムを使った簡単な手入れ

なかなか十分な手入れの時間がとれない場合、あるいは一部分だけ汚れてしまった場合には、消しゴムを使った簡易版の手入れ方法があります。

消しゴムがクレープブラシの役割を果たし、汚れを絡め取ってくれると同時に傷や色落ちを目立たなくしてくれます。

手入れの方法は簡単、消しゴムでスエードの表面をゴシゴシするだけです。

まず、綺麗にしたい箇所に狙いを定めます。つま先に擦れを見つけました!

汚れをロックオンしたら、消しゴムでゴシゴシします。鉛筆で書いた文字を消すよりも、少し強めにこするのがポイントです。

ゴシゴシしたら、消しカスを払い落とします。

すると、この通り!綺麗になりました。

スエードのトラブル対処法まとめ

最後に、スエードにありがちな以下のトラブルの対処法をご紹介します。

  • 毛羽立ちが目立つ
  • 雨に濡れてしまった
  • 色落ち、色あせがひどい
  • 傷やテカリがあるとき、一部が剥げてしまった
  • シミや黒ずみなどの汚れが気になる

どれも簡単な方法で対処できるので、気になる方はぜひ試してみてください。

毛羽立ちが目立つとき

スエードの毛羽立ちが目立つときは、ライターで炙ってスエードの毛先を整えましょう!

スエードを永く履いていると、毛先がボソボソとしてきます。まるで、使い古したセーターのようななんともかっこ悪い見た目です。

毛先がボソボソとしています

また、クレープブラシを使ったお手入れを何回もしたり、ブラッシングのときに力を入れすぎても同じように毛先がボソボソになります。

そんなときは表面をライターで炙ります。ゆらゆらとライターを動かしながら満遍なく火を当てるイメージです。

ライターで炙る

一部分だけに火を当て続けると焦げてしまうので、注意が必要です!また、ステッチ周りには火を当てないようにしてください。

また、使用後のライターはかなり熱くなっているので、火傷や火事には十分に注意してください。

焼いたあとのチリを手や豚毛ブラシでパパッと払えば、こんな感じで綺麗になります。

「毛羽立ちが目立つとき」の動画

雨に濡れてしまったとき

雨に濡れてしまった場合は、カビが発生したり型崩れしたりしないように正しく乾かすことが大切です。

濡れてしまったら、まず新聞紙などをまるめて靴の中に詰めます。新聞紙が靴の中の湿気を吸い取ってくれます。

新聞紙を入れたら、風通しの良い日陰で干します。

新聞紙を入れっぱなしにしていると、濡れた新聞紙が逆に靴の中の湿度を高めてしまい、カビが生えてしまいます。

2 〜 3 時間くらいを目安にこまめに取り替えましょう。

濡れ具合にもよりますが、1 日程置いておくと半乾きの状態になります。

半乾きの状態になったら、今度はシューキーパーを入れて完全に乾くまで干します。

靴の中に手を入れても湿気がなくなっていれば、完全に乾いているでしょう。

これでカビや型崩れを防ぎつつ、安全に乾かすことができます。

色落ち、色あせがひどいとき

スエードの色落ちや色あせがひどいときは、補色スプレーをふいて色味を整えます。

「5. スプレーを吹きかける」で使用したモゥブレィのスプレーは、ニュートラル(無色)でもかなり発色は良くなります。

それでもまだ気になる場合は、色付きのスプレーを使ってみましょう。

色付きのスプレーは、サフィールのスエードスプレーがカラーバリエーションが豊富なのでおすすめです。

スプレーではなく、液体で補色するタイプのものもありますが、スプレーに比べて色ムラができやすいのでおすすめしません。

傷やテカリがあるとき、一部が剥げてしまったとき

傷やテカリができたり、一部が剥げてしまったりしたときは、クレープブラシで強めにブラッシングすると綺麗な起毛した状態に戻すことができます。

スエードの表面に傷が付いています。

クレープブラシを使って、力を入れて強めにブラッシングします。毛先を立たせるようにスナップをきかせてブラッシングするのがコツです。

こちらが、ブラッシング後の状態です。綺麗な起毛した状態になり、傷が目立たなくなりました。

「傷やテカリがあるとき、一部が剥げてしまったとき」の動画

シミや黒ずみなどの汚れが気になるとき

シミや黒ずみなどの汚れが気になるときは、水洗いをすることで全て洗い流すことができます。

スエードは、起毛しているので水が染み込みやすいという特徴があります。さらに困ったことに、一度濡れてしまうとシミになってしまうことが多いのです。

ちょっとしたシミなどであれば、クレープブラシで毛並みを立たせればある程度は目立たなくなりますが、それでも汚れが気になるときは、水で汚れを浮かせて一気に洗い流してしまいましょう。

準備するもの

水洗いをする場合は、「スエードの手入れに必要なもの」に加えて以下のものを用意します。

  • 大きめのバケツ
  • 食器洗い用のスポンジ
  • シャンプー
  • 歯ブラシ
  • タオル

シャンプーは、モウブレィから起毛革用のものが販売されていますが、洗髪用のものでもかまいません。

同じく、歯ブラシも専用のクリーニングブラシがありますが、歯ブラシでも大丈夫です。

それでは、手順を解説します。

手順 1:靴紐を外しホコリを落とす

靴紐を外して手や豚毛のブラシを使って、表面の汚れを払い落とします。

水洗いで全体を綺麗にするので、だいたいで構いません。

手順 2:バケツにお湯をはる

ぬるま湯をはったバケツを用意します。

周りがビチャビチャにならないよう、室内でおこなう場合はタオルなど敷いておきましょう。

手順 3:スポンジを濡らし、シャンプーを泡立てる

食器洗い用のスポンジを濡らして、シャンプーを取って泡立てます。

手順 4. 全体を優しく洗う

泡立てたスポンジで全体を優しく洗います。

スポンジだけでは毛の奥深くに入り込んだ汚れまでは取れないので、歯ブラシで優しくゴシゴシします。

手順 5:泡を拭き取る

全体を洗い終わったら、水で泡を洗い流します。泡を洗い流しきれていないと、残った泡がシミになってしまうことがあるので丁寧にしっかりと洗い流します。

固く絞った濡れタオルで水分を拭き取ります。

手順 6:陰干しする

シューキーパーを入れて形を整え、風通しのいいところで陰干しします。

靴の内側を触っても湿り気がなければ、完全に乾いています。

完全に乾いたら、この記事の上の方で紹介している「スエードの手入れの手順」を一通りしておきましょう。

「スエードの水洗い」の動画

スエードとヌバックの違い

ひとまとめに「起毛革」と呼ばれることもありますが、スエードのほかにヌバックと呼ばれるレザーがあります。

ヌバックは、スエードと同じく起毛した革ですが、床面ではなく吟面をヤスリがけして起毛しています。

革の繊維は、吟面から床面にかけて粗くなっていくので、吟面を使ったヌバックのほうが、革の繊維が細かく肌触りがなめらかです。

パッと見はスエードと似ていますが、よく見るとスエードよりも毛足が短くて上品な感じがします。

スエードもヌバックも手入れの方法は同じです。

おわりに

スエードの手入れには面倒なイメージを持たれている方も、やってみると案外簡単ですし、みるみる綺麗になるのでヤミつきなってしまうかもしれません。

シミができたり色落ちしたりとトラブルの多い素材ではありますが、スエードの起毛した独特の雰囲気はスエードでしか味わえません。

今までスエードの靴を履いたことがない方も、ぜひこの機会に履いてみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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