靴用ブラシの種類と選び方、おすすめのブラシ紹介

革靴に使うブラシは、驚くほど種類が豊富です。

さまざまな種類のブラシが、国内外のメーカーから販売されています。数多くの商品のなかから、自分の好みのブラシを選べるのは嬉しい反面、種類が多すぎて選べない状況に陥ってしまうことがあります。

私自身、どのブラシを選べばいいのか分からず、悩んだ挙句に買ったブラシが全く役に立たなかったこともありました。

今でも、そのブラシは深く押入れにしまわれたままです(悲)

これからブラシを買おうとしている方には、同じ失敗をしてほしくありません。

そこで、この記事でブラシを選ぶときにどんなポイントに注目すればいいかを解説し、さらにコレを買っておけば間違いない、というおすすめのブラシをご紹介します。

そもそも、ブラシってどんなときに使うの?

ブラシを選ぶ前に、実際にどういう用途でブラシを使うのか、簡単におさらいしておきます。

ブラシを使う場面は以下の 4 つです。

  1. ホコリを落とす
  2. クリームを塗る
  3. クリームを伸ばす
  4. 仕上げにツヤを出す

1. ホコリを落とす

まず、革の表面についたホコリやチリを払い落とすときに、ブラシを使います。

ホコリやチリは革の水分を吸い取ってしまい、乾燥を招きます。毎日ササッとブラッシングするだけでも、靴はずいぶん長持ちします。

また、保湿用のクリームを塗る前に、ホコリやチリを払い落としておくことで、その効果が高まります。

ここで使うブラシは、靴の手入れの最重要アイテムの一つです。

2. クリームを塗る

保湿用のクリームなどを塗る際に、ブラシを使うことで、手を汚さずにかつ均等にクリーム塗ることができます。

とはいえ、布でも代用できますし、手が汚れるのを気にしなければ手を使って塗ることもできるので、この場面でブラシが必ず必要かと言われれば、そうではありません。

ちなみに、ブローギング(穴)の装飾がついた革靴にクリームを塗るときは、ブラシを使うことで穴の中までしっかりクリームを塗ることができます。

3. クリームを伸ばす

「2. クリームを塗る」だけでは、どうしてもクリームの塗り具合にムラができてしまったり、厚塗りになってしまったりします。

クリームを全体に均等に伸ばして革になじませたり、厚塗りになってしまったクリームをからめ取ったりする目的でもブラシを使います。

4. 仕上げにツヤを出す

革靴を鏡のようにピカピカにする鏡面磨きのあと、繊細なツヤを出すのにもブラシを使用します。

靴磨きの最後の最後に、ちょっぴり使うだけなので、ここでブラシを使わなくても十分に靴磨きを楽しめます。

これから革靴の手入れを始める方は、まずは「1. ホコリを落とす」用と「3. クリームを伸ばす」用のブラシを購入することをおすすめします。この 2 種類のブラシは、革靴のお手入れの必須アイテムです。

「2. クリームを塗る」用と「4. 仕上げにツヤを出す」用のブラシは、必須ではないので無理に購入する必要はありません。

ブラシを選ぶときのポイント

ブラシを選ぶときのポイントは、

  1. ブラシの形状
  2. 毛の種類

の 2 つです。

この 2 つの点に気をつけると、混乱することなく、用途に合ったブラシを選ぶことができると思います。

ポイントその 1:ブラシの形状

1 つ目のポイントは「ブラシの形状」です。

ブラシの形状はざっくり言うと、全体をブラッシングする用の大きいブラシとクリームを塗る用の小さいブラシがあります。

全体をブラッシングするなら大きいブラシ

上の写真のような大きいブラシは、全体をブラッシングする用のブラシです。

「1. ホコリを落とす」「3. クリームを伸ばす」「4. 仕上げにツヤを出す」用にはこちらのサイズ感のブラシを使います。

手でガシッと掴みやすく、効率よく全体をブラッシングできます。大きいので、一箇所に集中して力が加わることがなく、強めにブラッシングしても革を傷めてしまうことがありません。

大きいブラシのなかでも平べったい持ち手のブラシと、持ち手が反っているブラシがあります。個人的には使いやすさに大きな違いは感じませんが、こだわるのであれば、店頭で実際にブラシに触ってみて持ちやすさを確認してみてもいいかもしれません。

クリームを塗るなら小さいブラシ

「2. クリームを塗る」ときには上の写真のような小さいブラシ(通称ペネトレイトブラシ)を使います。

小さくて取っ手がコロンとしていて掴みやすく、筆のような要領でクリームを塗ることができます。

手で取るよりもクリームの適量がつかみやすく、ブラシが小さいので、細かいところまでクリームを塗ることができます。

ポイントその 2 : 毛の種類

2 つ目のポイントは「毛の種類」です。

毛の種類には、大きく下記の 4 種類があり、用途によって使い分けます。

  • 馬毛
  • 豚毛
  • 化繊
  • 山羊毛

例えば、ホコリを落としたいときに、毛先が固くて太いブラシを使っても表面のホコリが綺麗に落ちなかったり、クリームを伸ばしたいときに、毛先が柔らかいブラシを使ってもクリームがうまく伸びなかったりします。

毛の種類が用途に合っているかは、ブラシを選ぶうえでとても大切なのです。

ホコリを落とすなら馬毛ブラシ

表面についたホコリを落とすのには、馬毛のブラシを使います。

馬毛は比較的毛が細く、柔らかいという特徴があります。また、毛に弾力があり、よくしなります。

これらの特徴から、馬毛はホウキのようにササッとホコリを落とすのに向いています。

ちなみに、馬毛ブラシには尾やたてがみが使用されています。

クリームを伸ばすなら豚毛ブラシ

クリームを全体に伸ばすのには、豚毛ブラシを使います。

馬毛に比べて、一本一本の毛が太くてしっかりしています。触ってみると、固くて少しチクチクした感触です。

この固くてしっかりした毛先なら、粘度のあるクリームを均等に伸ばすことができます。さらに、クリームを浸透させるほか、余計なクリームの成分を絡めとってくれる効果もあるので、クリームを伸ばす場面で使用するなら、固い毛先の豚毛のブラシが最適です。

また、クリームを塗るときにも、豚毛のブラシが使われることが多いです。

豚には、毛のないイメージを持っている方も多く、「どこ部分の毛だ!?」と疑問に思われるかもしれません。実は、意外にも全身に毛が生えているようです。

同じく、クリームを伸ばす化繊ブラシ

クリームを全体に伸ばすのには、化繊ブラシもおすすめです。

化繊ブラシは、動物の毛などの天然素材ではなく、人工的に作られた化学繊維(略して化繊)が使用されたブラシです。

一本一本の毛が太くてしっかりしているので、豚毛と同じようにクリームを伸ばしたり、余計なクリームを絡めとることができます。

天然の豚毛のブラシと比べて、毛が抜けにくい特徴があり、さらに比較的安価というメリットがあります。

「いやいや、そんな人工の毛のブラシ使っちゃって、革に傷でも入ったらどうすんの!?」と思う方がいるかもしれません(私も少し疑っていたフシがあります)。そんな方は、ぜひ[化繊ブラシと豚毛ブラシを比較されている方の記事]をご覧ください。

意外にも、豚毛よりも傷がつきにくいそうです。

仕上げにツヤを出すなら山羊毛ブラシ

仕上げの艶出しには、山羊毛のブラシを使います。

豚毛や馬毛と比べて、毛先が圧倒的に柔らかい山羊毛のブラシ。一本一本の毛がとても細くて柔らかく、女性用の化粧用品に使用されるほどです。思わず頬に当てたくなるような、フワフワした感触です。

山羊毛のブラシでブラッシングすると、細い毛先が表面の凸凹をならして濡れたような光沢を出すことができるので、鏡面磨きの仕上げ用として使用されます。

さて、ここまででいったん整理をしておくと、

用途 向いているブラシの形状 向いている毛の種類
1. ホコリを落とす 大きい 馬毛
2. クリームを塗る 小さい 豚毛
3. クリームを伸ばす 大きい 豚毛 or 化繊
4. 仕上げにツヤを出す 大きい 山羊毛

となります。

この整理をハズさなければ、ご自身でブラシを選ぶ際にも大きな失敗はないかと思います。

おすすめのブラシ紹介

それでは、用途別に「コレを買っておけば間違いない」というおすすめのブラシをご紹介します!

前章 2 つのポイントをふまえた上で、使いやすさや価格、見た目の高級感などを基準に選びました。

ホコリ落としのブラシのおすすめ

使いやすさ、コスパ、高級感のバランスが取れたブラシ

コロニル Collonil から販売されている、馬毛のブラシです。ホコリ落とし用ブラシをどれにしようか悩んだときは、このブラシを購入しておけば間違いないでしょう。

17cm と比較的大きいです。持ち手の部分が反っていて手に馴染みやすく、さらに見た目に高級感があり、価格もお手頃です。

ちなみに、17cm は、クレジットカードやキャッシュカードを長い方向で二枚並べたときと同じくらいのサイズ感です。

安さを重視するならこのブラシ

ノーブランドで販売されている馬毛のブラシです。

とてもお手頃な価格で、かつ 13cm と全体をブラッシングするのに十分な大きさがあります。安く道具を揃えたい方におすすめです。

ちなみに、13cm は 1000 円札よりちょっと(2cmくらい)短いサイズ感です。

携帯に便利なミニブラシ!

M.MOWBRAY エムモウブレィのミニホースブラシです。

「オフィスでもブラッシングしたい!でも、大きいブラシでガシガシとブラッシングしていると白い目で見られる…」という方は、このミニホースブラシをそっとオフィスの机に忍ばせておきましょう。コンパクトなサイズ感で、お手軽に持ち運びもできます。

11cm で、ハガキの短い辺くらいのサイズ感です。

個人的に愛用している、持ちやすいブラシ

このなかでは一番値段が高いですが、個人的に愛用しているのが、サフィールから販売されている馬毛ブラシです。

13.5 cm くらいの長さ、私の手にちょうどすっぽり収まるくらいのサイズ感で、取っ手の丸みが手によく馴染みます。とても使いやすく、部屋で使う用と玄関に置いておく用で、2 本持っています。

クリームを塗るブラシのおすすめ

ロングセラー、豚毛のペネトレイトブラシ

R&D から販売されている、豚毛のペネトレイトブラシです。

定番中の定番で、全員持っているんじゃないか、というくらい人気のブラシです。程よく丸みをがあって持ちやすいのが特徴です。

クリームを塗るブラシを初めて購入する方におすすめです。

クリームが塗りやすい、馬毛のペネトレイトブラシ!

個人的に愛用しているのが、同じく R&D から販売されているペネトレイトブラシ。豚毛ではなく、馬毛のものです。

個人的には、豚毛のペネトレイトブラシよりもクリームを塗りやすいです。比較的お高めなので、「豚毛のペネトレイトブラシ使ってみたけど、ちょっと固いかな。」と思った方は、こちらをお試しください。

まとめて買っちゃいたい方はこちら

「そんなコロコロしたブラシは、まとめて買うゼ!」という男気のある方は、こちらのセットで販売されているものがおすすめです。

靴磨きをはじめると、いろんな色のクリームが増えていきます。ペネトレイトブラシはクリームの色が毛先に付くので、クリームの色ごとに使い分ける必要があります。

このセットで、あらかじめまとめて購入しておいてもいいかもしれません。

クリームを伸ばすブラシのおすすめ

お手頃な価格で、何本も欲しくなる

M.MOWBRAY エムモウブレィの豚毛ブラシです。

お手頃な価格で、初めて豚毛ブラシを購入する方におすすめです。15cm と、全体をブラッシングするのに十分な大きさです。

クリームを伸ばすブラシも、毛先にクリームの色がつくので、基本的には色ごとに使い分けます。そうなると、何本か揃える必要があるのですが、どうせ揃えるなら同じ商品で揃えたいですよね。

あとから同じものを買い足すことを見越して、リーズナブルなブラシを選んでおくといいと思います。

ちなみに、15cm は 1000 円札の長さと同じくらいです。

女性でも使いやすい、コンパクトなブラシ

靴修理の「ミスターミニット」から販売されている、豚毛のブラシ。

他のブラシと比較すると少し小ぶりですので、手が小さい方や女性におすすめしたいブラシです。大きさは、おおよそ 12cm ほどで、ボックスティッシュを上から見たときの短い辺くらいの長さです。

2 本セットで他と同じくらいの価格なので、とてもリーズナブルです。

ビッグサイズでガッシガッシいける、化繊ブラシ

M.MOWBRAY エムモウブレィの化繊ブラシです。

「化繊ブラシ、ちょっと興味あるな。」という方や、ガッシガッシとブラッシングしたい方は、こちらがおすすめです。

プロの方も愛用しているというこのブラシは、なんといってもその大きさが特徴。18cm と特大サイズで、全体を軽々と効率的にブラッシングできます。特大サイズのわりには、比較的お求めやすい価格帯です。

仕上げにツヤを出すブラシのおすすめ

山羊毛ブラシなら、この一択

コロニル Collonil から販売されている、山羊毛のブラシです。

山羊毛のブラシは高級品で馬毛や豚毛と比べて値は張りますが、こちらは比較的お手頃価格で購入できます。大きさは、15cm、1000 円札と同じくらいです。持ち手に高級感があり、さらに若干反っていて握りやすいという特徴もあります。

靴磨きを一層楽しむことができるアイテムです。

江戸屋の山羊毛ブラシ

ブラシの老舗、江戸屋が作っている山羊毛のブラシです。

職人によって手植え(!)されている、最高級の国産ブラシです。今までご紹介したブラシと比べてかなりお高めですので、余裕のある方や「俺は靴磨きで天下をとる!」という方におすすめです。

江戸屋の山羊毛ブラシは、形が「小判型」と「角反り型」の 2 種類があり、私は小判型のブラシを 1 本持っています。

ちょうど手に馴染むくらいの使いやすいサイズ感です。毛もみっしり詰まっており、他のブラシと比べるとブラッシングの感触が心地いいです。

常に品薄ですが、運が良ければ江戸屋のオンラインショップで購入できます。

まとめて買ってしまいたい方におすすめのブラシセット

まとめて必要なものだけを買ってしまいたい方には、こちらのセットをおすすめします。

ホコリ落とし用の馬毛ブラシ、ペネトレイトブラシ 2 本、クリームをなじませる化繊ブラシがセットになっており、さらに汚れ落としで使うステインリムーバーもついています。

おわりに

ブラシ一つを取っても選び方にポイントがあって、なかなか奥が深いですね。

毛の種類はここで紹介している 4 種類を、用途に分けて選んでもらえれば、まず間違ったブラシを買うことはないと思います。

また、ブラシを大切に使うために「ブラシ別に解説!靴の手入れ用ブラシは洗うべき?洗い方は?」で、ブラシのお手入れについて書いています。よろしければ併せてお読みください。

革靴のお手入れに使用するブラシ、どれを選んでいいか分からない!という方にこの記事が役にたてば嬉しいです。

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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