革靴をピカピカに輝かせる鏡面磨き(ハイシャイン)の方法とその落とし方

足元をとびきり綺麗に見せてくれる「鏡面磨き」。

「鏡面仕上げ」や「ハイシャイン」、「ミラーシャイン」とも呼ばれ、革靴のつま先やかかと部分をワックスを使って鏡のようにピカピカに磨き上げます。

この記事では、鏡面磨きに必要な道具と具体的な手順、鏡面磨きの落とし方について解説します。

鏡面磨きとは?ピカピカ光るのはなぜ?

革の表面には毛穴の凹凸があるため、そのままの状態ではあまり光を反射しません。

鏡面磨きは、この表面の凸凹の上に、ワックスに含まれるロウ(蝋)で平らなコーティングをつくる作業です。

表面にツルンとしたロウのコーティングをつくることによって、ピカピカと光を反射してくれるようになります。

鏡のように光る革靴は、自分で眺めているだけでもテンションが上がります!

ロウのコーティングには、革に傷がついたり水染みができたりするのを防いでくれる効果もあるので、できれば買ってすぐの新品の状態で一度鏡面磨きをしておきましょう。

鏡面磨きはしない方がいい?

「鏡面磨きは革に良くない」といわれることがあります。

なぜ鏡面磨きが革に良くないといわれているかというと、ロウのコーティングが革の呼吸を止めてしまうからです。

革は湿度(相対湿度)の変化に応じ、容易に水分を吸収し、また放出します。このように、革が水分を吸収し、放出する作用を “革は呼吸する” とたとえ、革の最も大きな特色ともいえるのです。

引用:革の豆辞典|一般社団法人日本タンナーズ協会

革は自ら水分の吸収と放出を繰り返し、最適な湿度を保とうとしますが、ロウのコーティングにより、それができなくなります。

この状態が長く続くと、吸湿できずに乾燥してしまい、表面がひび割れを起こしてしまいます。

そうならないためにも、鏡面磨きの前には、表面の汚れを落として乳化性のクリームでしっかりと保湿をおこない、かつ 2 〜 3 ヶ月に一度は鏡面磨きを落とすようにします。

この記事では鏡面磨きの方法に加えて、事前準備の汚れ落としと保湿の方法、鏡面磨きの落とし方についても解説しようとおもいます。

それでは、「1. 汚れ落としと保湿」、「2. 鏡面磨き」、「3. 鏡面磨きの落とし方」の順に実践していきます。

事前準備(汚れ落としと保湿)

まずは、革の表面の汚れを落とし、乳化性のクリームで保湿をします。

汚れ落としと保湿に必要なもの

汚れ落としと保湿には以下のものを用意します。

シューツリー

シューツリーは、クリームやワックスを塗る際に靴が型崩れしないように、靴の中に入れておきます。

馬毛ブラシ

革の表面のホコリを落とすのに使用します。コシがある馬毛ブラシがおすすめです。

ステインリムーバー

古いクリームや、馬毛ブラシだけでは落ちない汚れを落とすのに使用します。

ステインリムーバーを塗るときに使用します。使わなくなった T シャツでも代用できます。

乳化性クリーム

革の保湿に使用します。この記事では、乳化性クリームのなかでも浸透力の高い、コロニルのシュプリームクリームデラックスを使用しています。

ペネトレイトブラシ

乳化性クリームを塗るのに使用します。ペネトレイトブラシを使うことで、手を汚さずに、まんべんなくクリームが塗れるのでおすすめです。布を使用して塗っても構いません。

豚毛ブラシ

仕上げとして、乳化性クリームを均等になじませるのに使用します。

1. 靴紐を外し、靴の中にシューツリーを入れる

では、実際に汚れ落としと保湿をしていきます。

ホコリ落としやクリームを塗るときに邪魔になるので、靴紐を外します。また、型崩れしないようにシューツリーを入れておきます。

2. 馬毛ブラシでホコリを落とす

馬毛ブラシで全体のホコリを落とします。砂ほこりがたまりやすいコバ(= アウトソールとアッパーの境目の部分)は入念にブラッシングしましょう。

3. ステインリムーバーで汚れを落とす

ステインリムーバーを、100 円玉くらいの大きさに布に染み込ませます。

全体を軽く撫でるように綺麗にしていきます。

ゴシゴシすると革が痛むので注意。

かかと・右サイド・左サイド・つま先・甲に分けて、一箇所ずつやっていくとまんべんなく綺麗になります。

以下のように布が汚れたら、綺麗な位置になるように巻きなおしましょう。

4. 乳化性クリームで保湿する

乳化性クリームを、ペネトレイトブラシにこれぐらい取り、全体に塗っていきます。

こちらもかかと、かかと・右サイド・左サイド・つま先・甲と順番にまんべんなく塗っていきます。

しばらく履いていなかったり、購入したてでガサガサしている場合は、たっぷり塗っておきます。判断が難しかったら、表面を爪で軽く引っ掻いてみて、変色した部分をブラッシングしてみましょう。

変色した部分が消えなかったら乾燥している可能性が高いので、もう一度乳化性クリームを塗ります。

5. 豚毛ブラシでクリームをなじませる

豚毛ブラシでクリームをなじませます。

最後に、布で全体の余分なクリームを拭き取って終わりです。

これで「汚れ落としと保湿」が終わりました。下の写真の左側がクリームを塗った方です。乳化性クリームだけでも艶が出て発色が良くなったのが分かります。

鏡面磨き

さて、ここからワックスを使ってピカピカにしていきます。

鏡面磨きに必要なもの

追加で以下のものを用意します。

ワックス

この記事では、伸びが良くて使いやすいサフィールのビーズワックスを使用します。

できれば、一週間ほど蓋を開けて乾燥させてから使用します。

乾燥させることで、ワックスに含まれる水分が飛んで、ロウと油分の濃度が高まり、コーティングが作りやすくなります。ティッシュをふわっとかぶせて蓋をしておくと、ホコリをつけずに乾燥させることができます。

ポリッシングクロス

ワックスを塗る際にはポリッシングクロスを使用します。ワックスを伸ばしやすく、革に傷をつけにくいコットンでできており、鏡面磨きには必須のアイテムです。私は、使いやすい形にカットして使用しています。

ハンドラップ

ワックスを塗る際には事前にクロスを水で湿らせておきます。布に含んだ水分とワックスの油分が反発しあうようになり、布からワックスが離れて、革のほうにワックスが乗りやすくなります。

ただし、湿らせ過ぎるとそもそも布にワックスがつかなくなるので、さじ加減が難しいです。

そこで、便利なのがハンドラップです。なかに水をいれて使うのですが、上部の銀色の部分を押し込むと少量の水が出てくるようになっており、適度に布を湿らすことができます。

1. 指にクロスを巻きつける

では、実際に鏡面磨きをしていきます。

まず、クロスを指に巻きつけます。

革に触れる面にたわみやシワがあると、ワックスが均等に乗らず綺麗に仕上がりません。できるだけ布をピンと張り、磨いている間に張りがなくならないようにきちっと固定する必要があります。

ちなみに、鏡面磨きの段階では布が汚れることはないので、最初から最後まで同じ面を使用します。

2. 水でクロスを湿らせる

ハンドラップをワンプッシュして布を湿らせます。

手のひらでポンポンして、生地にしっかり浸透させましょう。

ハンドラップがない場合は、1, 2 滴程度の水を垂らして湿らせます。

3. ワックスを塗る

布を湿らせたら、その上にワックスをとります。軽くをなぞる程度で大丈夫です。

いよいよ、靴にワックスを塗っていきます。

ワックスを塗る箇所はつま先とかかとの部分です。屈曲部に塗ってしまうと、ワックスのコーティングが割れてしまい、見栄えが悪くなってしまいます。

初めは難しいかもしれませんが、グラデーションをつけるように光らせることができれば、全体に一体感がある仕上がりになります。

ワックスを塗る箇所はだいたいこのあたりです。

まずはつま先から塗っていきます。まんべんなく、優しく円を描くようにワックスを塗り込んでいきましょう。あまり力を込めずに撫でるようなイメージです。

もう一度ワックスをとって次はかかと部に塗っていきます。

4. 水を垂らして磨く

靴に塗ったワックスをさらに水で伸ばしていきます。

指に水をつけ、1, 2 滴靴の上に垂らします。

力を入れるとワックスを拭き取ってしまうので、同じく円を描くように優しく撫でるイメージで塗り込みます。

5. 繰り返す

3. ワックスを塗る → 4. 水を垂らして磨くを繰り返します。

ワックスと水の量のバランスによっては艶が出にくいことがあります。艶が出ないときはワックスをすこし多めに塗ったり、水を減らしたりして調整します。

今回は 5 回ほど繰り返しました。

6. 最後にもう一度水で磨く

最後にもう一度クロスを湿らして、仕上げの磨きをします。

先程までは円を描くように磨いていましたが、最後は縦方向に流れるように磨くときれいに仕上がります。

これで片方完了です。

どちらが鏡面磨きをした方か、一目瞭然ですね!

汚れ落としと保湿も含めて片側 20 分くらいかかるので、準備と片づけ含めて 1 時間ほどみておけば大丈夫かとおもいます。

鏡面磨きは、綺麗な状態がしばらく続きますが、だんだんと曇ってきます。

曇ってきたら、上からワックスを塗って綺麗にするか、一度鏡面磨きを落として磨き直すようにしましょう。

鏡面磨きの落とし方

さきほども述べたように、ワックスを落とすことを怠ると、革が痛んでしまいます。大切な靴を永く履き続けるために、定期的に鏡面磨きを落とすようにします。

鏡面磨きを落とすのに必要なもの

鏡面磨きを落とすには以下のものを用意します。

乳化性クリーム

ここでも乳化性クリームを使います。ただし、今回は保湿のためではなく、ロウのコーティングを溶かすために使用します。

無色のものを選びましょう。

ペネトレイトブラシ

乳化性クリームを塗るのに使用します。布で塗ることもできますが、均等に塗りやすいのでブラシがおすすめです。

レザーローション

溶かしたワックスを拭き取る際に使用します。

レザーローションでワックスを拭き取る際に使用します。

1. 乳化性クリームを塗る

では、鏡面磨きを落としていきます。

乳化性クリームをペネトレイトブラシでたっぷり塗ります。乳化性クリームがワックスを溶かしてくれます。

かかとも入念に。

2. レザーローションで拭き取る

溶かしたワックスと乳化性クリームをレザーローションを使って拭き取ります。

これぐらいをとって、手のひらで布に馴染ませます。

鏡面が落ちて、スッキリしました。これで革が「呼吸」できる状態に戻りました。

さいごに、乳化性クリームを保湿のために塗っておきます。

おわりに

綺麗に鏡面磨きできた靴を履いた時は気分爽快、ワクワクします。

ただし、鏡面 “磨き” だけに目がいってしまい、定期的にワックスを落とすことを怠ると、革が痛んでしまうことになります。

革靴を大切に永く履き続けるには、定期的にワックスを落としてあげることも忘れないようにしましょう。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

こちらでは必要最低限の手入れの方法も記載しています。宜しければご覧ください。

忙しい人のための簡単にできる革靴お手入れ術

参考文献

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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