【革靴図鑑 No.8】Saint Crispin’s Coin Loafer サンクリスピン コインローファー

ウィーン発のブランド、サンクリスピン

サンクリスピン(Saint Crispin’s)は、音楽の街として有名なオーストリア・ウィーン発のブランドです。

本社はウィーン郊外にあり、靴の生産が行われている工房はオーストリアの東に位置するルーマニアにあります。

ルーマニアをはじめとした東ヨーロッパでは、手作りで靴の製作をおこなっていることが多いという特徴があります。

靴産業が盛んであったイギリスやイタリアなどは、生産を機械化して量産を始めました。対して、東ヨーロッパでは機械化が進まず、未だに手作業での靴づくりがおこなわれているのだそうです。

東ヨーロッパのブランドのなかでもサンクリスピンの技術力は指折りで、比較的マイナーなブランドではあるものの、コアなファンから支持を得ています。

地理的な理由からか、イギリス靴の無骨さも、イタリア靴のエレガンスさも持ち合わせており、バランスのとれた普遍的なデザインが特徴です。

ウィーンの郊外にあるサンクリスピンのオフィス

サンクリスピンは私が靴を作り始めるキッカケとなったブランドの一つです。

初めて目にしたときからデザインや色の使い方、木型の造形や作りなど全ての虜になってしまい、2017 年にウィーン郊外の本社オフィスに押しかけたことがありました。

そのときの様子をご紹介します。

オフィス入口の棚には、ずらっとサンプルシューズが並べられていました。
サンプルシューズのなかには牛革だけでなく、ダルメシアンやヒョウなどの柄がついた毛皮が使用された靴もありました。
オフィスの一角にある机には、試作中の靴が並べられていました。
ロングヴァンプのオックスフォード。

360° 縫い目がないホールカットシューズ。手染めによるパープルが美しいです。
ブランドの代表、フィリップ・カー氏です。質問をすると熱心に答えてくれ、靴づくりに対する情熱が伝わってきました。靴を一番カッコよく見せるための写真の撮り方にもこだわりがあり、パシパシ撮っていたら「角度が違う!」と直されたのはいい思い出です。

復刻版のロシアンカーフを使用したコインローファー

今回ご紹介するのは、ロシアンカーフレザーが使用されたサンクリスピンのコインローファーです。

ロシアンカーフの特徴である “ひし形” のシボを再現した型押しが特徴的です。

ひし形の型押しがされています。

クラシックラストと呼ばれる木型を採用しており、卵のようなラウンドトゥをしています。

少しボリューム感のあるラウンドトゥ。

通常、靴のヒール部分には、形を保つために「芯材」と呼ばれる頑丈な補強材が入っています。

この靴は、ウェストからヒールにかけて、おおそそ靴全体の 180° がすっぽりとヒールの芯材で覆われています。芯材で囲っている分履き心地に安定感が生まれるという反面、少しはき心地が固く感じるという欠点があります。

グッと絞られたウェスト。

ウェスト部分には、出し縫いがかかっていません。出し縫いがない代わりに、木釘で打ち付けられています。

出し縫いはボールジョイントをすぎたあたりで止まっています。
ウェストに打たれた木釘。

シューキーパーは、木材から選んで削り出しているそうです。中は写真のようにえぐられているため、とても軽く通気性が高いのが特徴です。

サンクリスピンのシューキーパー。中は大きくくり抜かれています。

この靴のサイズ感

このモデルは、サンクリスピンが展開するクラシックラスト(Classic Last)が採用されています。

下記は、私が普段着用している靴のサイズ表です。

単位 サイズ
cm 25.5 〜 26.0
UK 7E
US 7.5D 〜 8D
EUR 40.5 〜 41

私が着用しているこの靴のサイズは 7F です。

サンクリスピンは、ブランド独自のワイズ表記の記号を定めており、そのなかで標準的なワイズを “F” としています。

この “F” は、US サイズや UK サイズの標準的なワイズ(それぞれ “D” と “E”)と比べると、微妙に幅が狭いように感じるものの、同じサイズ感と考えていいでしょう。

ギャラリー

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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