名も無きビジネスシューズは、LEATHER PORT より販売されている紳士靴です。
「売りたいのは特定の材料でも、技術でもない。”趣き” である。」と語られる靴は、息をのむほど美しく、口コミや SNS でみるみる広がり、今や多くの靴好きを虜にしています。
今回紹介するのは、名も無きビジネスシューズのなかでも特に人気の内羽根のフルブローグシューズです。
この靴の最大の特徴は、名も無きビジネスシューズの職人のオリジナル木型です。
うねるように立ち上がる甲、比較的高めに盛り上げた土踏まず、角の張ったチゼルトゥが特徴的です。
繊細かつ力強い印象がありながらも包み込むようなフィット感があります。
ハンドソーン・ウェルト製法と呼ばれる伝統的な製法で作られており、製作のほとんどが手作りです。
コバ周りの出し縫いも手で縫う「フルハンドソーン(十分仕立て)」という作り方で、糸を締める強さを一目一目調整しながら丁寧に縫われています。
アッパーに使用されているキメが細かいレザーはフランスのタンナー・デュプイ社製のカーフレザーで、注文者の希望に合わせて染めていただけます。
全体を細かく見てみたところ、靴のシルエットを美しく見せる 2 つの工夫がされていることが分かりました。
1 つ目は、コバの仕上げです。
通常、コバ(アウトソールの側面)のウェスト部分とそれより前の部分の境目は、なだらかな曲面で繋がるように作られることが多いです。
この靴では、あえてコバのウェスト部分とそれより前の部分の境目に角をしっかり出すことで、メリハリのあるシルエットが生まれています。
2 つ目は、ヒールの形状です。
地面との接地面にかけてヒールをすぼまったような形状にするピッチドヒールですが、私が今まで見てきた他のブランドの靴より急な傾斜がつけられています。
通常の既成靴やビスポークでヒールに急な傾斜をつけると、全体のバランスが崩れてしまうように思います。
この靴の場合は、木型の形状、ヒールの高さがちょうど良く、あえて急な傾斜をつけることでバランスのとれた美しいシルエットになっています。
ソールは、メスチャネル(アウトソールの表面に切り込みを入れて糸を通してから切り込みを伏せる技法)で美しく仕上げられています。
見えにくいところの細部までこだわりを持って作り込まれていることがわかります。このようなこだわりの積み重ねが “趣き” を生み出し、人々を魅了しているのだと思います。
この靴のサイズ感
下記は、私が普段着用している靴のサイズ表です。
単位 | サイズ |
---|---|
cm | 25.5 〜 26.0 |
UK | 7E |
US | 7.5D 〜 8D |
EUR | 40.5 〜 41 |
この靴は 25.0cm の D ウィズが合いました。
名も無きビジネスシューズでは、注文時に足の形や特徴から職人さんがサイズを推奨してくれます。
私の場合、推奨サイズは 25.5cm の C ウィズでしたが、捨て寸を短くとりたかっためハーフサイズ下げてウィズを上げました。