この靴は、なおやん【メローラ】靴磨き @ShoeshineUsdBro さんから依頼をいただいて制作した靴です。
ドレッシーさを意識したチャッカブーツ
今回製作したのはチャッカブーツです。延べ 100 時間ほどかけて製作しました。
ハンドソーン・ウェルト製法という伝統的な手縫いによる製法で作っています。
出し縫いと呼ばれるコバ周りのステッチも手縫いで、フルハンドソーンや十分仕立てとも呼ばれる作り方です。
チャッカブーツはカジュアルな雰囲気がありますが、今回の製作ではフォーマルでドレッシーな雰囲気になるように工夫しました。
まず、出し縫い(コバのギザギザした部分)のピッチは比較的細かい #10(1 インチにつき 10 針)にしています。
ピッチが粗ければ粗いほどカジュアルな見た目に、細かければ細かいほどフォーマルな見た目になります。
また、後ろから見たときのシルエットが綺麗になるようにピッチドヒールにしました。
ピッチドヒールとは、ヒールを地面に向かってすぼまった形状にする仕様です。かかとから地面にかけてのラインを流れるように見せることで、シルエットが華奢で美しくなります。
そして、アウトソールは全面を真っ黒に染め上げるカラス仕上げです。
左足のソールのウェスト部分にはアベンジャーズのロゴマークを飾り釘で入れています。釘を一本一本慎重に打ちこむ作業は時間がかかりましたが、楽しいひとときでした!
今回、コバのウェスト部分は角を落として丸くしています。
角を落とすことで、靴を斜めの角度から見たときにウェストが細くシルエットがすっきりとして見えます。
また、ソールとヒールのつなぎ目が段差になるように作りました。ビスポークでよく見られる仕様で、製作の途中で思い立ち今回初めて挑戦してみました。
思いのほか良い仕上がりになったので、これからも多用したいと思います!
この靴ができるまで
今回は、「仮縫い靴」と呼ばれるフィッティングやデザインを確認するための靴を作って実際に履いてもらい、修正を加えて一足を完成させる、という流れで製作しました。