革靴のつま先の修理方法は?(擦れ・剥がれ・へこみなど)

大切に履いている革靴のつま先、気がつかないうちに擦れたり剥がれたりしていませんか?

「これ、綺麗に直るのかな……」と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。

つま先に起きる問題の大半は修理に出せばきれいに直ります。

場合によっては自分でも直すこともできます。

この記事では、問題別に「自分で直せるのか、もしくは修理に出したほうがいいのか」といったことや、修理に出した場合の金額感・オプションなどについて解説したいと思います。

革靴のつま先に起きる問題まとめ

つま先の部分は、靴のなかで最も問題が起きやすい箇所といっても過言ではありません。

そんなつま先によく起きる問題を簡単に整理してみました。

擦れ

まずは、つま先の擦れです。

歩行の際に地面と擦れることによって、靴のつま先部分は段々と擦れてきます。

擦れ方や擦れ具合は人によって違います。

履く頻度や靴のフィッティング、歩き方などの人的要因とソールの素材・形、木型の捨て寸法などの物的要因があります。

ただ、程度は違えど、普通に履いていれば必ず起きる問題です。

つま先の擦れは、修理に出したほうがいいです。

修理に出すタイミング、修理代の相場などは後ほど解説します。

剥がれ

つぎは、つま先の剥がれです。

ソール部分がつま先からベロっと剥がれている状態です。

セメント製法の靴の場合、ソールが “のり” で接着されているため、段差にぶつけてしまった衝撃で剥がれたり、”のり” の劣化で剥がれてしまったりします。

グッドイヤー製法やマッケイ製法の靴の場合は、”のり” でソールをつけた上に糸で縫われているため、糸さえ切れていなければ剥がれることはありません。

つま先の剥がれも修理に出したほうがいいです。

こちらについても後ほど詳しく解説します。

アッパーの傷やへこみ

最後に、アッパーの傷やへこみです。

とくに “へこみ” は要注意です。

靴のつま先部分には「芯材」と呼ばれる固い素材がはいっています。

この部分を踏まれたり、上から重いものを落としてしまったりすると、芯材が変形してへこんだままになってしまうことがあります。

傷やへこみは自分できれいに直すことができます

方法は下の記事で詳しく書かれていますので、参考にしていただけばと思います。

革靴の傷を自宅で簡単 & 綺麗に補修する方法(擦りキズ、えぐれ、へこみなど)

つま先の「擦れ」の修理について

つま先の「擦れ」は修理に出すのが確実です。

つま先の修理は、補修材・専用の “のり”・工具などが必要になりますので、自分で修理するのはかなり難しいです。

修理に出すタイミングは、ウェルト部分が擦れる前です。

左右で擦れ方が違うので、片方だけ見てまだ大丈夫だとは思わず、両方の靴を見ることが大切です。

修理に出す場合、つま先の補修材の素材を 3 種類のなかから選ぶことになります。

1. 自然な仕上がりに見える「トゥレザー」

ひとつ目がレザーです。

自然な仕上がりになるのが特徴で、ソール面から見てもコバ面から見ても違和感のない仕上がりになります。

ただ、耐久性は他の 2 つよりも低いので、頻繁に修理などのケアができる人におススメです。

2. 耐久性も併せ持つ「トゥラバー」

ふたつ目がゴム(ラバー)です。

レザーよりも耐久性はあり、減りにくいです。

レザーや次に紹介するスチールよりも滑りにくい素材なので、歩行の際の蹴り出しがスムーズになります。

値段が比較的安めで、かつ耐久性もあるので、コスパの良い修理方法とも言えます。

コバ面を同系色のゴムで修理すればコバ面は目立ちませんが、ソール側から見ると取って付けたように見えてしまいますので気になる方は注意が必要です。

3. 耐久性抜群「トゥスチール」

最後が金属(スチール)です。(トゥスチールは、ビンテージスチールと呼ばれることもあります)

金属なので耐久性がかなりあります

レザーソールを履いていてつま先の減りが早いと感じるひとにおススメです。

ただ、歩く際に金属音がなること、蹴り出しのときにすべりやすいこと、大理石などの床を傷つけてしまう場合があること等のデメリットもあります。

3 種類の素材の相場は以下のとおりです。

  • トゥレザー:3,000 円程度
  • トゥラバー:2,000 円程度
  • トゥスチール:3,500 円程度

擦れ具合や修理店によって変動はありますが、だいたいこのくらいの価格感になります。

ちなみに、上記の価格はつま先の修理(補修)をする場合の価格になります。

つま先が擦れていると、同時にヒールやソールも擦れて減ってしまっていることが多いです。その場合、私だとつま先の修理と一緒にヒールの修理もご提案させていただくことがあります。

また、ソールの傷み具合によっては「オールソール」などの大掛かりな修理が必要になる場合もあります。

つま先の「剥がれ」の修理について

左:修理前。右:修理後

つま先の剥がれも、修理屋に任せるのが確実です。

接着するときに使用する靴用の “のり” は使い方が特殊で、分量・乾燥時間・熱活性・素材によっては接着補助剤を使用するなどの知識が必要になるので、自分で修理するのはハードルが高いです。

また、下手に自分で修理をするとまたすぐに剥がれる可能性があるほか、接着剤などが悪さをして、再度剥がれたときに修理がしにくくなり、修理に出す際に価格が上がるか修理ができなくなることもあります。

修理屋さんなら “のり” の知識やソールを圧着するための機械もありますし、切れてしまった糸も縫い直すこともできますので、長く大切に履きたいのであれば、修理屋さんに任せるのが一番だと思います。

修理費の相場は、部分的な接着で 1,000 円程度、全体的な接着で 3,000 円程度です。

【番外編】自分でつま先を補強する方法

つま先がすでに擦れてしまっている場合は修理に出したほうがいいですが、擦れる前に補強しておくのは比較的かんたんにできますので、その方法をご紹介します。

つま先に金属を取り付けることで、つま先が擦れるのをガードします。

擦れてからでは遅いので、新品の状態でやっておくのがオススメです。

修理屋に頼めば 3,000 円 〜 4,000 円程度でやってもらえますが、自分でやると 2,000 円弱で済ますことができます。

ただ、修理屋に頼むとスチールをソールに埋め込んでソール面が平らになるように補強してくれます。

自分でやると金属の厚み分がソールからポコッと出てしまうため、どこかにぶつけたときに取れやすかったり、少し歩きにくいと感じたりすることがあるので注意が必要です。

用意するもの

以下、補強の際に用意するものです。

金属パーツ

つま先に付ける金属のパーツです。

取付用のネジが付属しています。

瞬間接着剤

金属パーツに付属しているネジを取り付けるのと同時に、瞬間接着剤でも固定しておきます。

周りに垂れないようにするために、液体タイプではなくジェルタイプがおすすめです。

目打ち

目打ちはレザークラフトに使われる針のような道具です。

ネジ穴の位置をマークするのに使います。

ドライバー(小さいもの)

ネジを締めるためのドライバーです。

金属パーツ付属のネジが小さいので、それに合わせて小さめのドライバーを用意します。

それでは、取り付け方を簡単に説明します。

ステップ 1. 取り付ける位置を確認する

まず、つま先に取り付ける位置を確認します。つま先からすこし隠れるくらいの位置です。

だいたいこのあたり

金属パーツをつま先に当てて、目打ちでネジ穴の位置をマークします。

目打ちでネジ穴をマーク

目打ちでマークするとき、あとで取り付けるネジが真っ直ぐに入るよう、ソールの底面に対して垂直に 1〜2mm ほど穴を開けておきます。

ネジが真っ直ぐ入らないと、取り付けた後にネジが閉まりきらずにネジの頭がでてしまい、見栄えが綺麗になりません。

また、ネジが抜けやすくなります。

ステップ 2. 金属パーツを接着剤で接着する

金属パーツを、マークしたネジ穴に合わせて接着します。

接着剤を塗るのは、靴側か金属パーツ側、どちらか片側だけでオーケーです。

接着剤を塗ります

つま先の方に塗ると接着剤がはみ出てしまうかもしれないので、接着剤を塗るのは金属パーツの方がおすすめです。

ズレないように、手でグッと押さえ接着します。

ステップ 3. ネジで固定する

最後に、金属パーツをネジで固定します。

接着剤が多すぎると、ステップ 1. で空けた穴が接着剤で塞がってしまっている場合があります。

そのときは、画鋲や安全ピンなどで穴を空け直します。

ネジを垂直にして、ネジの頭が金属パーツのへこみに収まるまでドライバーで締めます。

ネジで締める

締め過ぎると穴がネジで壊れてしまうので、締め過ぎには注意しましょう。

これで終わりです。

おわりに

今回はソールのつま先の修理についてご紹介しました。

自分で直すのはなかなか難しいです。時間も手間もかかるので修理屋さんに任せるのが確実だと思います。

ソールやヒールは地面から受けるダメージを代わりに負ってくれているので定期的直して回復させてあげて下さい。

この記事を書いた人

長島竜太

埼玉県熊谷市で長島靴店という靴屋を営んでいる長島竜太です。靴修理をするかたわら、手製靴の製造もしております。修理のご依頼はコチラから

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