革靴の防水には、素直に防水スプレーを使いましょう。おすすめ防水スプレー 3 選

革の弱点は水です。

それは、革には濡れると硬くなったり縮んだりする性質があるからです。

雨に降られると傘を差しても靴はどうしても濡れてしまいますね。不測の事態に備えて「防水」をしておくことをおすすめします。

この記事では、革靴を防水する方法やおすすめの防水スプレーとその使い方をご紹介します!

革靴を防水するなら「防水スプレー」がおすすめな理由

革靴を防水する方法は以下のような方法があります。

  • 防水スプレーを吹く
  • ワックスを塗る
  • ミンクオイルを塗る

このなかで一番おすすめなのは「防水スプレーを吹く」です。

出かける前にサッとスプレーするだけで簡単に防水することができますし、防水効果もある程度長持ちするので突然の雨に降られても安心です。

「ワックスを塗る」では靴全体をワックスの膜でコーティングして防水しますが、このコーティングは履いても割れないような薄いコーティングでなくてはいけません。

なぜなら、ちょっとでもコーティングが厚いと履いた瞬間にパキパキと割れて見た目が汚くなり、防水効果もなくなるからです。

薄いワックスのコーティングを靴全体に作るのは至難の技で、かなり上級者向けの防水方法です。

また、苦労して靴全体に薄いワックスのコーティングを作っても防水スプレーを吹いた方が防水効果が高いです。

ミンクオイルを塗り込んで防水することもできますが、塗りすぎるとシミになったり革がフニャフニャになったり等の問題が起きるので使い方が難しいです。

簡単で効果的に革靴を防水するのであれば、防水スプレーが最適です。

防水スプレーは使わない方がいい!?

「防水スプレーはしない方がいい。使わないほうがいい。」と言われることがありますが、私は使ってもいいと思っています。

使ってはいけないと言われる理由は、防水スプレーを使うとシミやまだらになってしまう場合があるからです。

なかには「なんとなく革に悪そう」というイメージを持っている方もいるようです。

しかし、特殊な革を使った靴だったり、スプレーの使い方を間違ったりしない限り、シミやまだらが残ってしまうことはありません。

私は今までいろいろな革靴を手入れしてきましたが、防水スプレーの跡が残ったことはありません。

また、質感が変わってしまう、艶がなくなるといった革への悪影響があると感じたこともありません。

ですので、防水スプレーは使ってもいいというが私の経験に基づく持論です。

ただし、なかには革を傷めてしまうような防水スプレーもあるので、防水スプレーであればなんでもいいわけではありません。

次は、選ぶべき防水スプレーの種類について解説します。

予備知識:「鏡面磨き」した靴に防水スプレーを吹くと、鏡面が曇る

革靴を鏡のように光らせる「鏡面磨き」をした靴に防水スプレーを吹くと、防水スプレーの成分がついて鏡面磨きの部分が曇ります。

鏡面磨きした靴は、鏡面が曇るのを覚悟で防水スプレーを吹くか、防水スプレーを使わずに済むよう晴れた日に履くようにしましょう。

防水スプレーの種類

防水スプレーは、大きく分けて「フッ素系」と「シリコン系」があります。

革靴に使うのであれば、フッ素系の防水スプレーを選ぶことをおすすめします。

なぜなら、フッ素系のスプレーは「革の呼吸」を止めずに防水できるからです。

予備知識:革は呼吸している

革は、湿気を吸収・放出する性質があります。

この性質から「革は呼吸している」と比喩表現されることがあります。

革が呼吸できない、つまり吸湿や放湿ができないと、靴の中が蒸れやすくなるほか革に負担がかかって傷んできます。

革が傷んでくると、表面がガサガサになったりひび割れたりなど問題が起きてしまいます。

したがって、防水スプレーを選ぶときには「通気性を保つことができるか」がキーになります。

フッ素系スプレーとは、細かなフッ素樹脂を革の繊維に浸透させて防水するスプレーです。

フッ素樹脂は革の繊維ほど細かく、革の通気性を損ねることなく防水することができます。

対して、シリコン系スプレーは革の表面にシリコンの膜を作って防水するスプレーです。

シリコンの膜が革の表面を覆っているため、通気性がなくなり革が呼吸できなくなります。

このように、同じ防水スプレーにもシリコン系とフッ素系があり、このうちフッ素系のスプレーを選ぶことが大切です。

おすすめの革靴用防水スプレー 3 選

フッ素系防水スプレーといっても、さまざまなメーカーから販売されていて、どれを選べばいいかわからないことがあると思います。

そこで、私がおすすめしたい防水スプレーをいくつか紹介します。

メーカーによって、防水スプレーを吹いたあとの質感が違ったり使用できる革の種類が違ったりします。

自分の好みや用途に合った防水スプレーを探してみてください!

コロンブス アメダス(AMEDAS) 防水スプレー

日本の靴手入れ用品メーカー、コロンブスから販売されている「アメダス(AMEDAS)」という防水スプレーです。

スムースレザー(一般的なツヤツヤした見た目の革)やスエード、人工皮革などに使用することができます。

また、布地のスニーカーなどにも使うことができるため革靴以外にも併用できます。

比較的価格が安いのもポイントです。

革靴だけでなく色んなものに使いたい方には、アメダスがおすすめです。

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コロニル 1909 シュプリームプロテクトスプレー

ドイツの靴手入れ用品ブランド、コロニル 1909 の防水スプレーです。

このスプレーは「シーダーウッドオイル」という革への栄養成分が含まれています。

使用したあとに布で拭くとツヤツヤした綺麗な見た目になり、革の自然な質感を活かしながら防水ができます。

また、スムースレザーだけでなくスエードレザーにも使用できます。

価格がちょっと高いですが、革の艶感を楽しみつつ防水ができるので、靴にこだわりのある方におすすめのスプレーです。

ちなみに、このスプレーは私も愛用しています。

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エム・モゥブレィ スエードカラーフレッシュ

最後に紹介するのは、エム・モゥブレィのスエードカラーフレッシュです。

このスプレーは、スエードやヌバックなどの起毛革専用の防水スプレーです。

革に潤いを与える「ラノリン」という成分が含まれているため、革を柔軟にする効果があります。

さらに、スエードの発色を良くする効果もあるので、私はスエードにはこのスプレーを使うようにしています。

スエードやヌバックなど起毛革専用に使うのであれば、このスエードカラーフレッシュがおすすめです。

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100 均の防水スプレーはおすすめしません

100 均に革靴用の防水スプレーが売られていますが、私が見た限りすべて「シリコン系」のスプレーでした。

革を傷めてしまうかもしれないので、100 均の防水スプレーは使わない方が無難です。

シリコン系、フッ素系どちらか分からない場合は、パッケージに記載の成分を見てみましょう。

シリコン系であれば、「シリコン樹脂」や「シリコーン」といった記載があります。

革靴を長く愛用したいのであれば、これらの記載がある防水スプレーの使用は避けたほうがいいです。

革靴用防水スプレーの使い方

防水スプレーの使い方をご紹介します。

メーカーによって使い方が若干異なる場合がありますが、だいたいの流れは同じです。

詳しい手順はスプレーの背面に書かれているので、気になる方はメーカーが推奨している使い方を確認してみてください。

防水スプレーの他に用意するもの

防水スプレーを効果的に使うために、防水スプレーの他に用意するものを紹介します。

ここで紹介する道具は、防水スプレーを吹く前に靴についている汚れを落とすための道具です。

革靴に汚れがついたままスプレーすると、防水効果が弱まる、汚れが固まり見栄えが悪くなるなどの問題が起きるので、事前に汚れをしっかり落とした上で防水スプレーを吹きます。

馬毛ブラシ

馬毛ブラシは、革の表面についたホコリや細かいゴミを払い落とすのに使用します。

全体をブラッシングするので、しっかり持つことができる大きいブラシがおすすめです。

クリーナー

馬毛ブラシだけでは落としきれない細かいゴミやホコリを拭き取るためにクリーナーを用意します。

革を痛めることなく汚れを落とすことができるモゥブレィのステインリムーバーがおすすめです。

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布はクリーナーで汚れを拭き取るときと、最後の仕上げに磨くときに使います。

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使い古した T シャツなどでも代用可能です。

手順

それでは、防水スプレーの使い方の手順を紹介します。

ここでは、コロニル 1909 のシュプリームプロテクトスプレーを使用して手順を解説したいと思います。

ほとんどの防水スプレーは、風通しのいいところで作業することを推奨しています。

密室で作業するのではなく、ベランダや窓を開けて換気している場所で作業するようにしましょう。

1. 馬毛ブラシでホコリを落とす

まずはじめに、邪魔になる靴紐を外します。

内羽根(オックスフォード)の革靴の場合、全部紐を取ってしまうともう一度紐を通すのが大変です。

下の写真のように最後の穴だけ通しておくと、再度紐を通しやすくなります。

シューレースを外したら、馬毛ブラシでホコリを払い落とします。

入念にガシガシとブラッシングしましょう。

2. クリーナーで汚れを拭き取る

指に布を巻きつけ、クリーナーを 10 円玉くらいの大きさに染み込ませたら、優しくなでるように拭いて汚れを取ります。

一度では全体を吹ききれないので、2、3 回クリーナーを染み込ませて全体をまんべんなく綺麗にしましょう。

これで汚れ落としは完了です。

3. 防水スプレーを吹く

最後に、防水スプレーを吹いて軽く磨きます。

特殊な革を使った革靴の場合、スプレーがシミになることがあります。

全体にスプレーする前に、土踏まずの部分に軽くスプレーして 5 分ほど置き、シミにならないか確認しましょう。

シミにならないことを確認したら、20 ~ 30 cm ほど離して全体にスプレーを吹き、一度乾かしてから再度スプレーを吹きます。

最後に綺麗な布で磨けば、完成です。

防水スプレーと乳化性クリームを使うときの順番は?

革靴に防水スプレーと乳化性クリームを同時に使いたいときの順番は、乳化性クリームを先に塗ってから防水スプレーを吹くようにします。

防水スプレー → 乳化性クリームの順番だと、防水効果が弱まりまると同時に、乳化性クリームの浸透性も悪くなります。

乳化性クリームを使うときは、汚れ落とし(馬毛ブラシとクリーナー) → 乳化性クリーム → 防水スプレーの順番で手入れするのがおすすめです。

クリームの選び方や使い方は「どれを使えばいいの?革靴クリームの種類と定番おすすめクリーム」で紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

革靴に防水スプレー吹くタイミングと頻度

防水スプレーは、およそ 1 ヶ月くらいで防水効果がなくなります。

1 ヶ月に一度くらいの頻度でスプレーを吹けば防水効果を保ち続けられるので安心です。

ただ、月に 1 回も使うとすぐになくなってしまうので、ちょっともったいない気もします。

そこで、私が防水スプレーを吹いているタイミングを紹介したいと思います。

スプレーするタイミングがいまいち分からないときの参考になりましたら幸いです。

新品の靴を履き下ろすとき

履き下ろす前の新品の状態で防水スプレーを吹きます。

履き下ろしてすぐになにかをこぼしてシミができるとテンションが下がりますよね。

万が一でもシミができないように、履き下ろす前に防水スプレーをシュッと吹いておけば安心です。

雨が降りそうな日に履くとき

出かける前に天気予報を確認して雨が降りそうなとき、直近で防水スプレーを吹いていなければ吹きます。

降水確率が低く「大丈夫かな」と思った日に限って、雨に降られます。(私だけ?)

ちょっとでも雨が降る予感がしたら、その日の朝にシュッと防水スプレーを吹いておけば気兼ねなく出かけられます。

梅雨の季節

梅雨の時期は、いつ降られてもいいように防水スプレーを吹いておきます。

防水スプレーは、繰り返し吹くことで防水効果を高めることができます。

梅雨の季節に限っては、2 週間に一度くらいのペースでスプレー吹くと高い防水効果が持続します。

おわりに

この記事では革靴を防水する方法やタイミングについて紹介しました。

しかし、なかには「持っている靴すべてにそこまで気を使ってられない!」という方もいると思います。

そんな方におすすめなのは、雨に濡れても気にしない「雨用の一足」を用意することです。

これを雨が降っている日や降りそうな日、梅雨の時期などに履くようにします。

あまり履かなくなった靴などを「雨用の一足」とすることで、他の靴を雨から守ることができるのでオススメです。

下の記事で、簡単にですが雨用の革靴の選び方を解説しています。

革靴は何足持つべき?ローテーションで履くべき靴の数と種類を考える

興味のある方はあわせてご覧ください。

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