この記事は Justin FitzPatrick による The Shoe Snob Blog の記事 “THINGS TO KNOW ABOUT SHOES PART 4: 31-40” を翻訳したものです。翻訳を快諾してくれた Justin に感謝いたします。また、内容は多少の意訳を含んでおり、翻訳に際して私のミスがある可能性も十分にご了承ください。もし間違いがありましたら、Twitter 等でご指摘いただけると嬉しいです。
#31
非常に目の細かい紙やすり(最も目の細かいもので P1200 番)は、汚れたスエードをきれいにするのに役立ちます。ただし、張り切りすぎて激しくやってはいけません。やりすぎると逆効果になります。
#32
サイズの合う合わないは常に個人的な好みに左右されます。そして、その個人的な好みの大部分は文化的思想に由来するものです。3D スキャンの技術がビスポークの靴職人の代わりになり得ないのはこれが理由です。機械は人々の趣味嗜好を解釈できません。仮にアメリカ人、フランス人、中国人の 3 人に、それぞれ理想的なサイズを選んでもらうとします。もし 3 人が全く同じ足だったとしても、3 人それぞれ別のサイズを選ぶでしょう。私の財産のほぼすべてを賭けてもかまいません。また、以前言ったことの繰り返しになりますが、かかとの後ろに指を差し込むことには何の意味もありません。
#33
新品の靴はヒールカウンターの革がまだ硬いため、足首が上下に滑ったり、かかとの部分がゆるく感じたりすることがあります。オックスフォードの場合は靴紐で足を固定できるので、あまり気にならないかもしれませんが、ローファーの場合はより顕著にあらわれます。ただ、コルク入りのインソールが足に馴染んでくるのと同時に、ヒールカウンターも足に合うように変形し始め、かかとを固定してくれるようになります。したがって、ほんの少しかかとが浮くからといって戸惑わないでください。かかとが浮くからといって、ワンサイズ小さくしたほうがいいとは限りません。特にローファーの場合は。
#34
グレインレザーは、革のなかでは重くてぶ厚いほうに見えますが、実際は最も柔らかく最も馴染みやすい革のひとつです。
#35
当たり前に聞こえるかもしれませんが、より多くの靴を持つことによって、靴はより長持ちするようになります。私がわざわざこう言う理由は、高価な靴を買ってきて、毎日毎日休ませずに履いて 2 年で壊してしまい、「すぐに壊れる靴に高いお金を払ってしまった」と文句を言う人がいるからです。それは、その人が悪いのであって、靴やメーカーが悪いのではありません。より多くの靴を持って履き回すようにしましょう。靴はアダマンタイトでできているのではなく、革でできているのです。
#36
正式な場や舞踏会などでエナメル靴を履かなければならなかった時代は遠い昔に過ぎ去りました。鏡面磨きされたオックスフォード(あるいは、スマートなダービー)で十分です。また、鏡面磨きされた、全体的にきれいな見た目のブローグシューズでも事足ります。必要ないものにお金を費やすのはやめましょう。
#37
シューツリーは、靴に合っているほど、入れたり取り外したりするのが難しいものです。木型に合わせて作られたシューツリーには、時にうんざりすることがあります。しかし、靴の形を維持するためにはそのほうがいいのです。言い直すと、必ずしも木型に合わせて作られたシューツリーである “必要” はありませんが、靴に合っているシューツリーほど、より靴の形を美しく維持してくれます。したがって、もしシューツリーを簡単に入れることができるなら、それは良いことではありません。むしろ、靴に合っていないということです。
#38
ミンクオイルは革に良いものです。もしオンラインで反対のことを読んだとしたら、それは彼らが間違ったやり方で塗っているからです。ミンクオイルは、濃縮された製品です。厚く塗りすぎれば(ほとんどの人がそうしてるでしょう)当然ながら悪影響が出てきます。正しく(少量を靴の周りに均等に)塗ることによって、革の栄養状態は保たれ、健康で長生きするようになります。
#39
良質なスエード革は、いかなるスプレー類も必要としません。スエード革を永遠に新品同様の状態に保っておくことができるというのは空想ですから、そんなことはできないということをまず事実として受け入れましょう。しかし、私はスプレー類を一切使うことなく、スエード革のシューズやブーツを履いて一番激しい雨の日を過ごしてきましたが、何の痕跡も残らずにきれいに乾きました。スプレーを使うべきは安物のスエードだけです。靴につける化学薬品が少ないほど、それは靴にとって良いことです。
#40
ヒドゥンチャネル(クローズドチャネル)のソールは、オープンチャネルに比べて見た目はいいですが、その見た目のよさが損なわれてしまう脆さも孕んでいます。ヒドゥンチャネル仕上げをするには、ソールに斜めに切れ込みを入れて、切り込んだ部分の革を起こし、その後寝かせて接着します。この切れ込みでできる薄い革の部分は、たいてい薄くて脆いものです、したがって、適切に切れ込みが入っていない(薄すぎる)と、あるいは適切に接着されていないと、砂利道などを頻繁に歩くことで簡単に削れてしまったり、剥がれてしまったりします(とくに雨の日は)。ただし、仮にそうなったとしても、機能面(たとえば、靴が脆くなるなど)ではなんの問題もありません。ただ単にチャネルや縫い目が見えてしまうというだけのことです。だから、薄い革の部分が削れたり、剥がれたりしても心配はいりません。何ら悪いことではなく、単純にそうなってしまったというだけのことです。