この記事は Justin FitzPatrick による The Shoe Snob Blog の記事 “THINGS TO KNOW ABOUT SHOES, PART 3: 21-30” を翻訳したものです。翻訳を快諾してくれた Justin に感謝いたします。また、内容は多少の意訳を含んでおり、翻訳に際して私のミスがある可能性も十分にご了承ください。もし間違いがありましたら、Twitter 等でご指摘いただけると嬉しいです。
パート 1 の翻訳記事はこちら、パート 2 の翻訳記事はこちらになります。
この記事は “靴について知っておくべき 10 のコト” の新しい投稿です。1 番目から 20 番目までを見逃した方は、こちらとこちらをご覧ください。それでは、お楽しみください。
#21
雨の日に一番良いのはグレインレザーです(すなわち、カーフほど傷みが目立ちません)。次点はスエードです(濃い色のスエード)。通常のカーフスキンは主な皮革のなかで最も傷みやすいです。よって、雨の日にはスエードかグレインレザーの靴を履くようにしましょう。カーフスキンは晴れた日(もしくは小雨の日)のためにとっておきましょう。
#22
ビジネス街でブラウンの靴を履いてはならない、というのは古い世界の考えです。今は 2014 年です。未来です。履きたいなら、毎日ブラウンの靴を履きましょう。イタリアの人たちは気楽にそうしていますし、常にかっこいいです。品の良さというのは、身につける服やその色ではなく、自身の立ち振舞いや他の人との接し方によってあらわれるのです。
#23
トゥスプリングについて学びましょう。簡単に説明すると、トゥスプリングとは靴底のつま先の先端部分から地面までの距離です。トゥスプリングが高すぎると、ひどい見た目になります。残念ながら、安物の靴は歪んだ木型から作られるため、トゥスプリングが高くなりすぎてしまいます。最悪なことに、一度悪くなり始めると、あとは悪化するだけです。魅力のかけらもありません(全体のコーディネートを台無しにします)。つま先が巻き上がった靴は、エルフのスリッパみたいです(何のことを言っているか察しがつきますよね)。この物語の教訓は、トゥスプリングができるだけ低い靴を買いなさいということです。
#24
バルモラルブーツやスパッツブーツは、スーツと合わせると上品に見えます。おそらく本当にスーツに合う唯一のブーツです(例外はありますが、すべての列挙するのは時間がかかり過ぎます)。そうではない(スーツに合うブーツはない)と言う人たちは、”ビジネス街でブラウンの靴を履いてはならない” と言う人たちと同類です。ビクトリア朝やエドワード朝時代の人はこれらのブーツを履いていましたし、私にとって、彼らは歴史を通して見ても最も品のある人たちです。
#25
だぼだぼのズボンは靴を良く見せてくれません。裾にシワがたまって、靴に覆いかぶさってしまいます。靴を良く見せたいのであれば、靴が美しく見える丈のテーパードのズボンを履くのがいいです。しかしながら、単に足首より 1 インチ短ければいいというわけではありませんし、単にタイトであればいいというわけでもありません。正しくやることとやり過ぎは紙一重です。私自身、間違いを起こしたことがあります。すべてのズボンは同じ股下の測り方ができると思っていました。同じ間違いを起こさないでください。代わりに多くのお金を支払うことになるでしょう。
#26
もしあなたがよく歩く人(すなわち、かなりの力で地面から跳ね上がる)で、コンクリートや舗装道路の上をたくさん歩くのであれば、最初の数回の着用でトゥは大幅にすり減ってしまい、靴の残りの寿命を縮めてしまうでしょう。靴の作られ方(すなわち、ソールの角は丸くなく角張っている)と私たちの歩き方(地面を跳ね上がる)のために、これは避けられません。一度(歩くことによって自然に)角が削り取られ、トゥの先端がわずかに丸くなってしまうと、指数関数的にすり減りはじめます。一番良いのは、ソールの交換が必要になる前に、トゥがすり減らないように埋め込み式のトゥスチールを付けることです。
#27
日に当たると、靴の色は自然と薄くなります(時間の経過とともに)。雨にさらされると、靴の色は自然と濃くなります(時間の経過とともに)。したがって、靴の色を薄くしたければ、無色のワックスだけを使って磨き、晴れた日に履くようにします。逆に、色を濃くしたければ、雨のなかで履き、若干濃いめの油性クリームを使って磨くようにします。絶対に黒の油性クリームやワックスでタンカラーの靴を磨いてはいけません。ムラができるだけですし、直すのも難しいです。成果は時間をかけてはっきりと目に見えてきます。急いでいるのであれば、パティーヌ職人に相談してください。
#28
ドレスシューズを完全防水にはできません。これはマーケティングの嘘です。ある程度の雨に耐えられるようにはできますが、大雨に長い間さらされると、浸水してあなたの足や靴すべてが水浸しになります。それが現実です。適切に磨かれた良質な革は、本来必要なすべての保護をしてくれます。ただし、水たまりに足を踏み入れてはいけません。
#29
オックスフォードのホールカットシューズは、ビスポークでも機械による大量生産でも、作るのが最も難しい靴です(こういうわけで時には高価になります)。それは、前面に継ぎ目のない靴(一般的なホールカットシューズはかかとの後ろに継ぎ目があります)なので、釣り込みの機械に引っ張られたときにあまり伸びないからです。したがって、甲の部分の革を木型にぴったり合わせるのが難しいのです。多くの場合、甲の部分の革と木型にわずかな隙間が残り、靴の形が多少崩れてしまいます…
#30
つま先の鏡面磨きは、どんな靴もより良く見せてくれます。