革靴のつま先デザインのひとつ「U チップ」。
U チップは、プレーントゥやストレートチップといったド定番のデザインではありません。
しかし、その使い勝手の良さやキラリと光る職人技から、好きな人から絶大な支持を得ています!
この記事では、U チップの特徴やおすすめモデル、コーディネートの例をご紹介します。
革靴のつま先「U チップ」とは?
U チップとは、その言葉が示すようにつま先に U の字の縫い目が施されたデザインの靴を指します。
つま先の先端にも縫い目がある Y 字っぽいものもありますが、まとめて U チップと呼ばれています。
U チップは、ほかのつま先のデザインと比べると「ややカジュアル」な立ち位置にあります。
フォーマルすぎずカジュアルすぎないことから、幅広い服装に合わせることができる “万能な靴” として親しまれています。
万能といっても没個性的になることはなく、国やブランドによって個性的な違いがでてくるのも U チップの魅力です。
もともと、U チップは 1930 年代頃にイギリスでカントリーシューズのデザインとして生まれました。
そこから他の国に渡り、それぞれの場所でいろいろな発展をとげます。
たとえば、アメリカではゴルフで履く靴のデザインとして、フランスでは狩猟用に履く靴のデザインとしてよく採用されました。
国によってキャラは少しずつ異なりますが、一貫して「U チップ = カジュアル目な靴」という認識はあるようです。
おすすめの U チップ定番モデル
ここからは U チップの定番モデルを紹介したいと思います。
U チップはブランドによって U の形や縫い方に特徴があるので、いろいろなタイプの定番モデルをまとめてみました。
U チップといえばコレ!「エドワード・グリーンのドーヴァー(Dover)」
まず最初に紹介するのは、エドワード・グリーンというイギリスの老舗靴ブランドの「ドーヴァー(Dover)」というモデルです。
ドーヴァーは、ダービー(外羽根)という羽根が甲を覆うような種類の革靴に U チップを組み合わせたモデルです。
かなり有名なモデルで、U チップと言えばコレを思い浮かべる方も多いはずです。
ドーヴァーには、「ライトアングルモカ」と呼ばれる U チップが採用されています。
ライトアングルモカは繊細な作りのため一針一針手で縫う必要があり、とても手間と時間がかかります。
そのぶんモコモコとした縫い目によって、靴に独特な表情が生まれています。
さらに、つま先の先端には「スキンステッチ」と呼ばれる縫い目を隠す特殊な技法で割れ目が入っていて、これも手縫いでしかできません。
細やかな職人技を楽しみたい方におすすめしたいモデルです。
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豊かな表情が魅力「オールデンのノルウェージャンスプリットトゥ(NST)」
次に紹介するのは、アメリカの有名靴ブランドであるオールデンの「ノルウェージャンスプリットトゥ(NST)」です。
NST というのは、オールデン特有のデザイン仕様で、短靴やブーツ、ローファーなどさまざまなモデルに採用されています。
縫い目がポコポコとした「つまみモカ」と呼ばれる技法で縫われた Y の字のデザインが特徴的です。
特にコードバンを使用したモデルは、革の艶感とポコポコ感が相まって唯一無二の雰囲気があります。
オールデン以外でも “つまみモカ” で作られた U チップはありますが、オールデンほど立体的で表情豊かな縫い目のものは見たことがありません。
NST を採用したモデルはたくさんあるので、いろいろ探してみるとお気に入りの一足が見つかるかもしれません!
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コロンとした可愛い顔立ち「レンドの GB001」
上で紹介した 2 つのモデルよりも更にカジュアルな雰囲気があるのが、レンドの「GB001」です。
レンドは 東京・浅草に店を構える国産のブランドで、GB001 はコロンとした可愛らしい顔立ちが特徴のモデルです。
2 枚の革を重ねて縫いつけるシンプルな U チップで、ピシッと縫い合わさっていることで綺麗な見た目をしています。
つま先にボリュームがあること、ラバーソールでソール周りがどっしりとしていることで、靴全体がカジュアルな印象です。
休日のカジュアルスタイルに合わせたい一足です。
好きな革を選んで注文することもできるので、自分好みの一足を作り上げたい方にもおすすめです。
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シャープな見た目「サンタリの U チップ」
私の個人的な好みでいうと、サンタリの U チップも外せません。
サンタリは、東京・浅草に工房を構える日本のブランドで、最初に紹介したエドワード・グリーンのドーヴァーと同じ「ライトアングルモカ」を採用したモデルを展開しています。
サンタリの特徴は、U チップの形に種類があるところです。
通常のものと U の字が短いものがあり、見た目の印象がかなり違います。(個人的には短い U チップが好みです)
どちらの種類でも U の字がややほっそりとしていて、カジュアルさがありながらもドレス感があります。
革を選んで注文することもできますし、アイレット(靴紐を通す穴)の数にもバリエーションがあるので、こだわった一足が欲しい方におすすめです。
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U チップのコーディネート紹介
U チップはカジュアルな印象があるので、休日のリラックスした服装に合わせるのが王道です。
しかし、最近ではビジネスシーンにスーツと合わせて履いている方も多いようです。
ここからは、U チップの革靴を使ったコーディネート例をご紹介します。
ビジネスシーンなら、柄物や素材感のあるスーツと合わせる
U チップは、柄物や素材感のあるスーツと合わせやすいです。
柄物や素材感のある生地だと U チップのカジュアルな雰囲気とよくマッチしてくれるので、コーディネートがまとまってくれます。
無地のダークスーツに合わせると足元だけがカジュアルになって浮いてしまうので、注意が必要です。
また、厳格さが求められる冠婚葬祭や式典と行ったイベントごとには向いていません。
そういった場面であれば、ストレートチップやプレーントゥの革靴がいいでしょう。
カジュアルシーンなら、ジャケパンと合わせる
カジュアルなシーンで U チップの革靴を履くなら、ジャケパンと合わせるのがおすすめです。
U チップはフォーマルすぎずカジュアルすぎないので 、ジャケパンのような綺麗目カジュアルなコーディネートにぴったりです。
スラックスだけでなく、デニムに合わせても OK です。
おわりに
この記事では、革靴のつま先のひとつ「U チップ」について詳しく解説しました。
U チップは、フォーマルすぎずカジュアルすぎない中間の立ち位置なので、「合わせ方がよく分からないから持ってない」という方もいるようです。
しかし、スーツからデニムにまで合わせられる万能さがあるので、一足持っておいて損はありません!
持っていない人はコレを機にぜひ U チップの革靴を次の一足の候補に入れてみてください!