【翻訳】ニュース – 日本の 4 ブランドがヨーロッパへ

本稿は、2018 月 1 月 27 日に投稿された Shoegazing English の記事「News – Four Japanese brands to Europe」を、許可を得て翻訳したものです。

はじめに、翻訳を快く許可してくれた Jesper Ingevaldsson に感謝いたします。

内容は多少の意訳を含んでおり、翻訳に際して私のミスがある可能性も十分にご了承ください。もし間違いがありましたら、Twitter 等でご指摘いただけると嬉しいです。

画像:Shoegazing

来たる EU との自由貿易協定に先駆けて、日本の 4 ブランドがヨーロッパ市場へ向けて紹介されました。JSEP(ジャパン・シューズ・エクスポート・プラットフォーム)が紹介する Matsumoto、Miyagi Kogyo、Kanpekina、Kiten の各ブランドを Shoegazing が詳しく見てきました。

パリの JSEP 展示会に並べられた日本の靴。画像:Shoegazing

面白い時代がやってきます。日本と EU は自由貿易協定(EPA)の最終合意に達し、これによって靴の関税・輸入税が、日本からヨーロッパへの輸入では即時撤廃、ヨーロッパから日本では 10 年かけて徐々に引き下げられます。協定の発効は、今年の終わり頃か 2019 年 1 月になる見通しで、この変化に備えるべく、ヨーロッパへ日本の靴を紹介する JSEP(ジャパン・シューズ・エクスポート・プラットフォーム)というプロジェクトが立ち上がりました。最初に参入するブランドは、クラシックシューズブランドの Matsumoto(日本ではオリエンタルシューズ)、Miyagi Kogyo、Kanpekina(日本ではペルフェット)、Kiten、さらにスニーカーブランドの Spingle Move W。今週、JSEP とブランドがパリで展示会を開き、ヨーロッパの小売業者は彼らをよく知る機会を得ることができました。

Matsumoto は奈良県(8 世紀の日本の首都)を拠点とし、1957 年に製靴業をスタート。さまざまな製法を採用した後、原点を振り返り、初期の頃に採用していたグッドイヤー・ウェルト製法に立ち戻ります。

とてもエレガントで丁寧に作られた、Matsumoto のオックスフォード。画像:Shoegazing
Matsumoto が提供するソールの種類の一つ。地面に触れている部分はグッドイヤーウェルトの通常の縫いつけですが、この細い輪郭を作り出すためにウェストはマッケイ縫いになっています。画像:Shoegazing
クラシックなラウンドトゥ。画像:Shoegazing
月型の切り欠きが入ったシボ革のオックスフォード。かかとの形状が繋がるように、ヒールが若干テーパードになっていることに注目です。画像:Shoegazing

私は以前、低価格帯のオリエンタルシューズ(Matsumoto の日本での呼び名)の靴がワールド・フットウェア・ギャラリーで販売されているのを見たことがあり、それは価格の割に非常に良いものでした。しかし、今回お披露目されたのは通常価格帯のより高水準な靴。ウェストは細くエレガントで、ヒールはほんのすこしテーパードになっており、ラストもとても良いバランスで非常に出来が良く、感激しました。革も上質で Annonay 社や Weinheimer 社のヨーロッパの革のみが使用されています。自由貿易協定が発効されれば、ヨーロッパで約 600 ユーロで販売される予定です。

伝統的な日本の装飾がついたローファー。画像:Shoegazing
別の一足。画像:Shoegazing
Matsumoto が提供する別のソールオプション。画像:Shoegazing
素晴らしい二色のオックスフォード。画像:Shoegazing

Miyagi Kogyo は、おそらく 4 ブランドのなかで最も知られているブランドです。クラシックでかっこいい、洗練された靴は、その写真がソーシャルメディアやフォーラムで拡散され、靴好きの注目を集めてきました。ブランドは 1941 年に軍の要請により立ち上がり、第二次世界大戦後の平和な時代には、高級ブランドの OEM 生産をメインに、さまざまな種類の靴を作るようになります。さきほども触れたワールド・フットウェア・ギャラリーで、自社の名前で靴を作り始め、その名が知られるようになりました。

トゥとエプロンが手縫いされた、Miyagi Kogyo の美しいスプリットトゥ ダービー。画像:Shoegazing
つま先が磨かれたフルブローグ。画像:Shoegazing
底。画像:Shoegazing

Miyagi Kogyo の靴は伝統的なラストの形やソールの処理が似ている Edward Green とよく比較されます。素晴らしい光沢のトゥも特長。革は日本とヨーロッパのものが使用されています。私はさまざまな質の日本の革を見てきましたが、それらはシボが若干粗い傾向にありました。しかし、Miyagi Kogyo が使用している今日の日本のなめし革工場は私が見てきたなかでも最も優れています。その見た目と手触りは、ヨーロッパの優れたなめし革工場のものと遜色ありません。価格はおよそ 450 〜 500 ユーロになる予定です。

ブラウンのダブルモンク。画像:Shoegazing
深いブルーのレザー(トップ画像のものです)。画像:Shoegazing
同じく深みあるのバーガンディーカラーに、 Miyagi Kogyo のクラシックなラウンドトゥのラスト。画像:Shoegazing

Kanpekina はヨーロッパですでに販売されていた唯一のブランドです。おもにフランスの店舗で、少量販売されていました。1985 年創業で、日本ではペルフェットという名前で知られています。また、風雅心(ふうがしん)というブランドの靴をベトナムと日本の工場で製造。日本の工場は、東京区外の松戸に位置しています。

Kanpekina のアデレイド。画像:Shoegazing
かっこいいボタンブーツ。画像:Shoegazing
重量感のある軍隊型のブーツ。画像:Shoegazing

ヨーロッパの市場に初めて現れたときの Kanpekina は、派手なモデルが多く、ほとんどが異素材ミックスで大胆な色使いのものでした。今回は、この傾向を踏襲しつつも、現代風でエレガントなクラシックモデルで知られる日本らしさをより押し出しています。基本的にはグッドイヤー・ウェルト製法ですが、さらにハンドソーン・ウェルト製法の最高級ブランドを展開する計画です。アウトソールの縫いつけには機械を使用しますが、ブラインドウェルトの細いベヴェルドウェストは、既成靴というより、まるでビスポークシューズのようです。革はヨーロッパ産で、多くはイタリアのなめし革工場 Zonta と Ilcea のものを使用。価格はグッドイヤー・ウェルト製法の靴が約 500 ユーロ、最高級ブランドのものがそれ以上になる予定です。

Kanpekina が計画している最高級ブランドのソール(この写真は、ソールにペルフェットのブランドがスタンプされています)。画像:Shoegazing
素晴らしいブラインドウェルトのウェスト。この部分の奥にソールの縫いつけがあり、ウェルトはソールで覆われています。画像:Shoegazing

最後に紹介するブランド Kiten はこれまでとすこし異なり、カジュアルシューズを作っています。モカシンタイプの一種であるボローニャ製法を採用し、素晴らしい履き心地を実現しています。フルラバーソールが使用されているので、浸水の心配もありません。履き心地と耐久性がうまく両立されていると思います。とくに光沢のあるなめらかなカーフレザーのマウンテンブーツには目を惹かれます。同じ会社から Spingle Move W というバルカナイズ式のキャンバススニーカーブランドも展開されています。

Kiten のマウンテンブーツ。画像:Shoegazing
どんなものにも耐えるソール。画像:Shoegazing
ブラックとレッドのレザーを使ったダービー。画像:Shoegazing
Spingle Move W のスニーカー数点。画像:Shoegazing

ヨーロッパの人々が日本の既成靴メーカーを知ることができて、とても嬉しく思います。うまく組織化された製造プロセスにより日本国内ではいい値段で買える靴が、自由貿易協定が始まればヨーロッパでも手に入るようになります。現在主に使用されているラストは、日本市場向けに作られたもののなかで西洋人の足に最も合うものが選ばれています。しかし、なかには欧米人の足に完璧に合うラストを開発することを視野に入れているブランドもあります。冒頭でも言いましたが、面白い時代がやってきます。

この記事を書いた人

カタオカケン

東京在住、靴作りに勤しむ 27 歳です。作るのはもちろん、靴を眺めたり、靴を磨いたりするのも好きです。鏡面磨きはなかなか上手くできません。

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